証券アナリストジャーナル4月号やすべえです。今月の証券アナリストジャーナルは、「監査報告書の拡張と監査の情報提供機能」特集です。

皆様、「監査報告書」のイメージってどのようなものでしょうか?企業決算作成のプロシージャ―の中で、ひな形などによって形式化された一部分でしょうか?または、監査人と事業会社が記載内容でもめるケースをイメージする方もいらっしゃいますでしょうか?なかなかイメージが湧かない方も多いかもしれません。今回のジャーナルは「監査報告書」について、基本的な事項から最新の監査事情まで、監査への理解が深まるものでした。書き留めておきたいことを徒然なるままに書いていきます。

 

私は「監査界」に身を置いていないので知りませんでしたが、そもそもの流れとして、国際的に「監査報告書の拡張」が叫ばれており、国内では金融庁が2016年3月に「提言」したことで「監査報告書の拡張」が進んできたというものがあります。

3本目の論文(わが国での「監査報告書の長文化」の動向についてー山添清昭氏)が説明してくれているのですが、金融庁の「会計監査の在り方に関する懇談会」での「提言」において、会計監査の信頼性確保に向けて講ずるべき取組みの5つの柱というものが出てきます。

その5つとは、「監査法人のマネジメントの強化」、「会計監査に関する情報の株主等への提供の充実」、「企業不正を見抜く力の向上」、「第三者の眼による会計監査の品質のチェック」、「高品質な会計監査を実施するための環境の整備」であり、「会計監査に関する情報の株主等への提供の充実」の細目の中に「会計報告書の透明化等」という項目があって、国外における監査報告書に対する新しい制度の導入などもあり、我が国でも「監査報告書の拡張」の検討を進めるべきと提言されたとのことです。

 

さて、監査界の最近の流れを抑えたところで、1本目の論文(監査報告書の考え方 -オピニオン・レポートvsインフォメーション・レポート – ー松本祥尚氏)です。そもそも、監査報告書とは「監査に対する意見=オピニオン・レポート」なのか、または、「監査に対する情報=インフォメーション・レポート」なのか?という切り口で、監査報告書のあるべき姿をわかりやすく議論していきます。

「監査」とはなかなか難しいプロセスですので、専門家がしっかりとやった上で、監査の結論を簡潔に述べるだけで良いという考え方もあるはずですし、あってよいのでしょう。そんな見方からは、短いひな形の監査報告書がスタンダードになるわけです。

一方、財務諸表をつぶさに見ている投資家、アナリストなどは、監査人が「監査」の中で得た知見や考えが投資の判断材料になり得るので、長くなっても良いから報告書に入れてほしいと思うわけです。

この両者の歩み寄りと言うものが進みつつある中で、両者の考えをはっきりさせておきましょうというのが著者の思いなのではと感じました。監査人と言う責任ある立場で、両者の歩み寄りの中でどのようなルールをもって「監査報告書の拡張」に挑んでゆくべきか、そして、どのように責任を取っていくべきかというのは大きな問題です。また、投資の判断材料として利用した投資家、アナリストもそういった責任の所在などの問題やある程度の書きぶりのルール化が行われている方が、ベネフィットがあることを認識すべきとも思いました。

 

2本目の論文(国際監査基準に基づく拡張された監査報告書ー林隆敏氏)は、国際的な「監査報告書の拡張」について、国際監査基準(ISA)の内容を細かく説明してくださっています。確実な記述ですが、私には読解が大変でした。(笑)

前の論文で、責任の所在などの問題、書きぶりのルール化のベネフィットを書きましたが、国際監査基準(ISA)において、しっかりとその点が考えられていることがわかります。また、海外では実施の段階に移っていることを紹介していて、イギリスでは2012年10月1日以降に開始する事業年度から、欧州連合加盟国については2016年6月17日以降に開始する事業年度から、米国においても2017年12月15日以降に終了する事業年度から順次適用しているとあります。日本も待ったなしの状況と言えるかと思います。

 

というわけで、今月の論文は、「監査報告書」に関するものでした。証券アナリストジャーナルは、自分が興味のある事項について深堀りすることにも役立ちますし、自分が興味を持っていなかったある意味未知の世界のような事項についても知見を広げていくことのできる大変貴重な雑誌です。今月は、あまり興味を持っていなかった領域だったので、読み進めるのが困難でしたが、ブログで毎月レビューしていることが推進力となって、読み込むことが出来ました。乱文で駄文ですが、読んでくださる方がいることが励みになります。ありがとうございます!