やすべえです。今回から「お金が働く環境」と題して、書いていきます。

これまで「お金に働いてもらう時間」では、年金の話を通じて、運用する時間の長さを味方につけていきましょうという話をしました。また、「お金に働いてもらう場所」では、日本や先進国や新興国といった国や地域に投資対象を分けて、さらに株式や債券といった投資対象にも分けて6つの箱を作り、少なくとも自分の資産がどの箱にどのくらい入っているのかを把握していきましょうという話をしました。

今回の「お金が働く環境」というのは少し抽象的かもしれません。

ですので、まずは「人間が働く環境」に置き換えてみて考えてみます。例えばある人の年収が500万円だとします。働いている方ならお分かりですが、社会保険料や住民税や所得税が徴収されて、手取りは400万円を割れるくらいになっています。もし社会保険料や税金の無い国で働いていれば、年収500万円であれば、手取りは500万円となります。

それと同じようなことが「お金が働く環境」においても発生しています。通常の場合、ある株の配当が10000円としますと所得税や復興特別特別所得税や住民税が徴収されて手取りは8000円を割れます。(これは、上場株式の配当で源泉徴収を選択している場合です。) もし、このお金が税金の無い国で働いていればどうなるでしょうか?

「人間が働く環境」の場合、社会保険料や住民税や所得税が日本で働いている限りは徴収されますので、国外脱出などをしなければ変えようがありませんが、「お金が働く環境」の場合は、あなたがどこで働いていたって、お金が働く環境を変えてあげることで、比較的簡単に税金を減らすことが可能という話です。昨今、日本ではこの「お金が働く環境」を良くするための改革が進んでいます。NISAや確定拠出年金(iDeCo)などという言葉を聞いたことのある方はいらっしゃいますでしょうか?

「NISA」とは、「Nippon Individual Saving Account」を略した愛称で、日本語では「少額投資非課税制度」のことで、譲渡所得(売買の利益)や配当所得が一定の条件のもとで非課税になる制度です。イギリスの「ISA」という制度を参考に作られました。

「iDeCo」とは、「Individual-type Defined Contribution plan」を略した愛称で、日本語では「個人型確定拠出年金」のことで、現役時代に積み立てながら運用して、老後に受給する、任意の年金制度です。税制の優遇措置が、①資金の拠出時、②資金の運用時、③資金の受給時にあることが特徴です。2017年1月から対象が拡大したことで大きく注目されています。

次回からは、「NISA」や「iDeCo」の内容や、使うにあたってのコツなどを書いていこうと思います。