今回と次回で日本株と米国株の20年を業種(セクター)のランキングを見ながら振り返ってみたいと思います。まずは、日本株からはじめます。

日本の株式相場20年を振り返る、セクターの変遷

上の表は1997年から5年ごとに日本株トップ市場である東証一部の業種のランキングがどのように変遷していったかを表したものです。

大きな特徴として、1997年にトップだった銀行セクターが2017年には4位と徐々に地位が低下してきていることがわかります。知っている世代は当然知っている知識ですが、社会人に最近なった人は都市銀行が沢山あったことを知らないですよね。この20年は銀行の合併の時代だったのですが、少しおさらいしておくと、三菱東京UFJ銀行は、東京三菱銀行とUFJ銀行が合併してできた銀行で、それぞれ東京銀行と三菱銀行から、三和銀行と東海銀行から成り立っています。みずほ銀行は宝くじの第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の合併で生まれました。三井住友銀行はさくら銀行と住友銀行の合併で生まれましたが、さくら銀行は三井銀行と太陽神戸銀行の合併で生まれました。りそな銀行はあさひ銀行と大和銀行の合併で生まれましたが、あさひ銀行は協和銀行と埼玉銀行の合併で生まれました。今挙げた日本興業銀行を除くすべての銀行が都市銀行と言われる大銀行で、現在は、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行が3メガバンクと呼ばれています。日本興業銀行は、長期信用銀行と分類されていました。長期信用銀行は他に、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行がありましたが両行とも一旦国有化されて、それぞれ新生銀行、あおぞら銀行となっています。また、ここまでで挙げた以外にもう一つ都市銀行がありました。北海道拓殖銀行で、1997年に経営破たんした唯一の都市銀行です。

次の特徴として、電気機器セクター、輸送用機器セクターが20年の間ずっとトップ3で君臨していることが挙げられます。輸送用機器セクターはいわゆる車業界で、日本は米国と貿易摩擦などがありましたが一貫して強い業界だったので合点がいくでしょうか。トヨタ、本田、日産、SUBARUなどといった完成車メーカーやデンソーやアイシンといった部品メーカーがけん引してきました。電気機器セクターは、シャープや東芝など、業況が大変だった、または今も大変である企業もありますが、ここ15年はトップとなっています。日本は様々な電気機器の企業が頑張っているおかげで繁栄しているということが言えます。家電などでよく見るソニーやパナソニック、産業用の電気機器でシェアの高い日立や三菱電機、電子部品の村田製作所、モーターの日本電産、ロボット業界で世界的に強いファナック、センサーの大手のキーエンスなど、幅広く有力な企業があります。

情報・通信セクターは携帯電話で有名なNTTドコモ、AUのKDDI、ソフトバンクがありますし、固定電話をかつて独占していた民営化した企業であるNTTはNTTドコモやNTTデータといった子会社を持っているため時価総額が大きいです。その他にヤフーといったインターネット関連の企業や、野村総合研究所、トレンドマイクロといったIT関連の企業もこちらのセクターに含まれます。

表を見てみると、総じて変化が少ないように思えます。次回、米国株の20年を業種(セクター)のランキングを見ながら振り返っていきますが、少しびっくりするくらいにダイナミックに変遷していきます。お楽しみに!

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