やすべえです。日本株の銘柄コードの話ですが、山場の8000番台です。現在のように第三次産業が大きく成長する前に作られた銘柄コード体系でしたので、8000番台に「卸売業」、「小売業」、「その他金融業」、「銀行業」、「証券商品先物」、「保険業」、「不動産業」と7業種が詰め込まれています。これに加えて、3000番台の時に少しご紹介した「REIT」もあります。

銘柄コードと業種の対照表(8000番台ハイライト)

次に、「百の位」ですが、きっちりと分類されています。「銀行業」は合併などを経て銘柄コードがだいぶ変わりましたが、昔は都市銀行や地方銀行が8300番台で、信託銀行が8400番台、第二地銀が8500番台といった分類があったように記憶しています。

銘柄コードと業種の対照表(8000番台)

では、8000番台の「卸売業」から参りましょう。「卸売業」と「小売業」は、新しく上場する銘柄が多く、空き番号に散らばっていると何度か言ってきましたが、8000番台の「卸売業」と「小売業」は元々銘柄コードを割り当てた時に既に存在した銘柄も多いですので、社歴の長い銘柄が多いです。

五大商社と言われる、「伊藤忠(8001)」、「丸紅(8002)」、「三井物(8031)」、「住友商(8053)」、「三菱商(8058)」(銘柄コード順に記しています!)があります。ありとあらゆるものを貿易しているので、「総合商社」という呼び方もします。

また、特化型の商社もあって、「東エレク(8035)」と「日立ハイテク(8036)」は半導体商社の流れを汲んでいて、実際に半導体製造装置も製造しているという企業です。「キヤノンMJ(8060)」は「キヤノン(7751)」の子会社として販売網などを持つなど、商社的な役割を果たしてきた企業です。特化型の商社の時価総額はそんなに大きくないものの沢山あります。BtoB(企業間取引)の役割というのは、電子的な取引が増えてきている昨今ですが、やはりまだまだ人や業者が必要という事でしょうか。

 

次いで8100番台後半から8200番台に入っている「小売業」です。3000番台のところで「7&I-HD(3382)」が昔は8183のセブンイレブンと8264のイトーヨーカドーが合併してできた企業だと書きましたが、「イオン(8267)」はこちらに入っています。スーパーマーケットは他にも「イズミ(8273)」、「ヤオコー(8279)」といった企業が入っています。

百貨店では、「高島屋(8233)」や、阪急百貨店と阪神百貨店を傘下に持つ「H2Oリテイル(8242)」、「丸井G(8252)」などが挙げられます。また、小売り専門店と言われる、スーツ販売の「青山商(8219)」、低価格ファッションを提供する「しまむら(8227)」、家電量販店の「ケーズHD(8282)」などが入っています。
この番号帯に入っていない「小売業」でも、大きな企業は沢山あります。ユニクロやGUで有名な「ファーストリテイ(9983)」、家具販売店の「ニトリHD(9843)」、ZOZOTOWNを展開する「スタートトゥ(3092)」など様々な銘柄コードで上場しています。

 

8300番台から8500番台の「銀行業」に移りたいと思います。「銀行業」はバブル崩壊以降、合併の時期がありました。こちら(https://asfin.jp/japanese_market_sector_20y/)に少し書きましたが、都市銀行は3メガバンク(「三菱UFJ(8306)」、「三井住友(8316)」、「みずほ(8411)」)または、4メガバンク(3メガに加えて、「りそなHD(8308)」)と呼ばれるまでに数が減りました。そして最近、2015年11月ですが、このメガバンクに少なくとも時価総額では匹敵する大銀行「ゆうちょ(7182)」が上場しました。

地方銀行にも合併の波は押し寄せていて、持ち株会社の名前だけを見るとわからなかったりしますが、既に合併しているところですと、「ほくほく(8377)」、「めぶきFG(7167)」、「東京TYFG(7173)」、「コンコルディア(7186)」、「池田泉州(8714)」、「トモニHD(8600)」、「九州FG(7180)」、「西日本FH(7189)」などがありますし、最近も新聞等で合併のニュースがよく出ています。

「利ざやの縮小」という問題があります。「銀行業」がずっと十何年も抱えている悩み事です。利ざやとは、預金金利と貸出金利の差ですが、金利が下落していく中で利ざやは縮小していきましたし、2016年1月にマイナス金利政策が導入され、預金金利がゼロ以下にならない中で貸出金利が下落するといったので、利ざやはさらに縮小していきました。このような状況ですので、銀行の収益性は厳しくなってきているように思えますが、今後、どうなっていくでしょうか。

 

8400番台、8500番台には「その他金融業」という業種も属しています。「クレセゾン(8253)」、「ジャックス(8584)」、「オリコ(8585)」といったクレジットカード会社や、「アイフル(8515)」、「アコム(8572)」といった消費者金融業、企業向けのリースなどを手掛ける「オリックス(8591)」、証券取引所を運営する「JPX(8697)」などのさまざまな金融業の企業が該当します。

消費者金融には、「過払い金問題」という問題があります。「利息制限法」で定められた年率15パーセント(100万以上)と「出資法」で定められた年率29.2パーセントとの間の利率をグレーゾーン金利と言って、その部分の利息が過払い金だとして、返還を求める訴訟が相次いでいるという問題です。

 

まだまだ続きます。8600番台の「証券商品先物」です。ネット証券というのはわりと歴史がありまして、「松井証(8628)」が1998年5月に「国内初の本格的インターネット取引「ネットストック」を開始」(http://www.matsui.co.jp/company/history/)したのがはじまりで、次々と新たなネット証券が誕生していきました。上場しているネット証券も多く、「GMOクリック(7177)」、「SBI(8473)」、「マネックスG(8698)」、「KABU.COM(8703)」などがあります。そんな中でもこの業種内での時価総額のワンツーは「野村HD(8604)」、「大和証G(8601)」となります。

 

8700番台は「保険業」です。「保険業」にも「銀行業」と同じように、合併の時期がありました。「SOMPOHD(8630)」、「MS&AD(8725)」、「東京海上(8766)」を3メガ損保(損害保険会社)と呼びますが、これらの企業は10社以上、会社によっては20社以上を合併して今に至っています。

生保(生命保険会社)は株式会社ではない相互会社という形態をとっているところも多いのですが、上場している企業では「かんぽ(7181)」、「ソニーFH(8729)」、「第一生命(8750)」が挙げられます。

 

8800番台は「不動産業」です。総合不動産大手としては、三井不(8801)、菱地所(8802)、住友不(8830)が挙げられます。他にも大企業として、「ヒューリック(3003)」、「野村不HD(3231)」、「東急不HD(3289)」、「東建物(8804)」、「NTT都市(8933)」などが挙げられます。

この他にも、イオン系列の「イオンモール(8905)」、「タイムズ」ブランドの駐車場大手「パーク24(4666)」といった特化型の不動産企業もあります。

 

少し駆け足でやりましたが、最後、8900番台は「REIT」です。「REIT」とは「Real Estate Investment Trust」の略で、日本語にすると「不動産投資信託」となります。「REIT」は投資家から資金を集めて、その資金で不動産を購入し、その不動産から得られた収益を分配するというものです。これまで学んできた株式は、投資家から資金を集めて、その資金で事業を行って、その事業から得られた収益を分配したり、事業拡大にあてたりするものでしたので、似て非なるものと言えますでしょうか。

歴史は2001年9月までさかのぼります。「日本ビルファンド投資法人(8951)」と「ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)」が上場しました。その後は順番に、「日本リテールファンド投資法人(8953)」、「オリックス不動産投資法人(8954)」と上場していきましたが、「ジャパンエクセレント投資法人(8987)」までいったところで、空き番号の問題もあり、3200番台、3300番台、3400番台に進出しています。

 

この8000番台は金融系がぐっと詰まった番号帯でした。「マネー経済」が「実物経済」を凌駕したなどと言われることもありますが、銘柄コード上では8000番台の一部を占めるにすぎません。こんなところに、「マネー経済」の急速な成長を感じることも出来るでしょうか。次回は9000番台です。

 

前のページに戻る  次のページに進む

こちらから銘柄コード最初のページに戻ります。