プライベートバンキングテキスト上巻さて、主読本「プライベートバンキング」に戻ります。第2章「ファミリーミッション・ステートメント(FMS)」です。

「ファミリーミッション・ステートメント」とは、馴染みの薄い言葉ですが、家族版の社則のようなものです。家訓といったものは各家族に文書化されているかどうかはさておき、何となくはあるような気がしますが、一族の基本的な方針を明文化したものを持っておきましょうということです。

将来の一族のイメージを具体的に考えたり、これまでの一族の栄枯盛衰の歴史を一族史として編纂することを提唱しています。お金のことに限らず、人的な資本や知的な資本について考えていかないといけません。私の一族という言葉のイメージは「華麗なる一族」ですが、すごい一族になってくるとドラマ化もありかもしれません!笑

「ファミリーガバナンス」という言葉も出てきます。「コーポレートガバナンス」という言葉が出てきてまだ新しいですが、そのコーポレートガバナンスの家族版と言えば良いでしょうか。コーポレートガバナンスは直訳すると企業の統治ですから、ファミリーガバナンスは家族の統治ということになります。例えば、家族はこう在るべきだとか、家業はこう管理されるべきだとか、資産や資金の管理はこういう方針で行っていく、一年に一回家族会議を行う、といったことになります。

この項目でも、コアアセットとノンコアアセットをどう管理して、事業の承継と財産の承継をどうしていくべきかということが書かれています。相続税、贈与税の税率の高い日本で永く続く家業を世代を超えて継いでいくことは本当に難しいのだなと感じます。

 

次の項目は「運用目標(一世代か多世代資産保全か)」です。一世代であればその世代で資産を使い切ってしまって良いわけで、相続といった問題も使い切ってしまうが故に問題が無く、話は難しくないのですが、ここでも多世代の資産保全の難しさが書かれています。

多世代資産保全の場合はやはり相続が問題です。何度か書いていますが、日本の相続税、贈与税の最高税率は50パーセントと高いので、相続の評価を抑えるために不動産を持つとか、計画的に暦年贈与すべしとか、一次相続と二次相続をあらかじめ考慮して納税資金を計画的に確保していくといったことです。

資産管理会社の設立についても書かれていますが、税効果や家族への給与支払いなどのメリットと、資産管理会社それ自体の流動性の問題性や株式・不動産保有特定会社になって相続税評価額がやっぱり高くなってしまったりするデメリットが混在していて、私自身に経験が無いのに人様にオススメなんて出来やしないんじゃないかと思ってしまいます。

 

そして、「これぞ資産保全の最終手段!」という感じですが、海外で暮らすことについても書いてあります。平成27年の7月から出国税(1億円以上の金融資産を持っている人が出国する際にみなし譲渡をした形で課税されるというもの)が導入されたことで、ハードルが上がっていると思いますが、そもそも日本を離れて海外で長期間滞在するのは大変なようです。「プライベートバンカー」という清武英利さんの本を読みましたが、ノンフィクションのお話の世界で、なかなか特殊な出来事があり、様々な事件が起こっていました。読むには面白い本ですが、当事者になったらキツいですね。

次回に続きます。