やすべえです。「お金に働いてもらう場所」シリーズ最終回、今回も例の図をご覧いただきながらお読みいただければと思います

ざっくりと投資対象を6つに分けた図

右側の列に行きましょう。新興国です。新興国ってどんな国でしょう??箱を6つに分けていますので、日本と先進国以外が新興国となるわけですが、ここは境目を明確に引けないところでもあります。BRICs」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?Bはブラジル、Rはロシア、Iはインド、Cは中国、それぞれの頭文字を取ってBRICsですが、Sを南アフリカとして「BRICS」と書く場合もあります。ちょっと古い言葉かもしれませんね。2001年から使われている言葉だそうです。他にもいろいろな言葉が造られています。「CIVETS」、「MENA」、「NEXT11」、「VISTA」。新興国投資がブームになるとこういった言葉が沢山出てくる気がいたします。

横道に少し逸れますが、「PIIGS」という言葉は、2008年のリーマンショック後のヨーロッパの金融危機の時に創られたもので、新興国とは関係のないものです。ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインの頭文字をとっています。EU離脱問題などでで揺れているヨーロッパですが、危機になるとこの言葉が再び聞かれるようになるかもしれません。

さておき、新興国の箱ですが、この箱の中は一言で言ってしまうと玉石混合でして、なかなか難しい領域になります。日本や先進国については、メジャーな投資対象なので、資産運用する際の情報が豊富だったり、テレビやインターネットでもニュースなども容易に得られるものですが、新興国については、情報量が少なく、情報伝達のスピードも遅く、マーケットで言えば、下落した後にようやくニュースが流れてきて手遅れになっている可能性が高いイメージです。また、国ごとにも状況が違っているので、良い新興国もあれば、今一つの新興国もあるといった奥も深い世界です、少しマニアックな箱になります。

私たちが投資するにしても、日本と先進国の4つの箱をまず投資してからこちらの発展途上国の世界に足を踏み入れることになるケースが多いですし、そのほうが無難であると言えます。また、新興国投資をするに際しては、リスクが一般的に高いので、個別に集中投資するよりも分散投資するほうが一般的だと言えます。投資信託、特にインデックス投信を利用するケースが多いのではないでしょうか。ここでは、新興国の債券に投資するETF、新興国の株式に投資するETFを見ていきたいと思います。(ETFとは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語で言えば「上場投資信託」、株のように売買できる投資信託ということになります。)

 

まずは、新興国の債券に投資するETFです。ここからいくつかのETFを紹介していきますが、これらの投資商品を勧誘したり推奨しているものではありませんのでご了承くださいませ。

iシェアーズ J.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券 ETF
JPモルガン・エマージング・マーケット債券指数に連動する投資成果を目指すものです。中身を見ていくといろいろなことがわかります。抜粋して書いてみますと、国債に8割くらい投資していて、国別のアロケーション(割合)はメキシコが6パーセント超でトップ、次いでインドネシア、トルコ、フィリピン、アルゼンチンと続いていきます。また、経費率は0.4パーセント/年となっています。

iシェアーズ 新興国債券ETF
ブルームバーグ・バークレイズ新興市場自国通貨建てコア国債インデックスに連動する投資効果を目指すものです。ほぼ全てを国債に投資していて、国別のアロケーションは10パーセント程度でメキシコ、ポーランド、南アフリカ、インドネシア、タイ、ブラジル、マレーシアと並んでいるようです。こちらの経費率は0.5パーセント/年となっています。

PowerShares Emerging Markets Sovereign Debt Portfolio(英語です)
DB Emerging Market USD Liquid Balanced Indexに連動する投資効果を目指すものです。こちらもほぼ全てを国債に投資していますが、国別のアロケーションはかなり分散しているようで、3.5パーセント程度でトルコ、スリランカ、南アフリカ、セルビア、スロベニア、ブラジル、メキシコなどとなっています。こちらの経費率は0.5パーセント/年となっています。

 

次に、新興国の株式に投資するETFです。こちらに関しましても、これからご紹介する投資商品を勧誘したり推奨しているものではありませんのでご了承くださいませ。

iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF
MSCI エマージング・マーケッツ・インベスタブル・マーケット・インデックスに連動する投資成果を目指すものです。個別銘柄のリストを見ていきますと、韓国のSAMSUNG ELECTRONICS、中国のTENCENT HOLDINGS、台湾のTAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFACTURINGが上位になっていて、国別では中国、韓国、台湾、インド、ブラジルという順番になっています。こちらの経費率は0.14パーセント/年となっています。

バンガード®・FTSE・エマージング・マーケッツETF
FTSEエマージング・ マーケッツ・オールキャップ (含む中国A株)・ インデックス に連動する投資成果を目指すものです。こちらの個別銘柄のリストは、①のETFと少し違っていますが、台湾のTaiwan Semiconductor Manufacturing Co、中国のTencent Holdings、中国のChina Construction Bankという上位で、国別では中国、台湾、インド、ブラジル、南アフリカという順番になっています。韓国が入っていないところがポイントでしょうか。。こちらの経費率も0.14パーセント/年となっています。

iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF
MSCI エマージング・マーケット・インデックス に連動する投資成果を目指すものです。個別銘柄の保有上位や、国別のアロケーションを見てみますと、①のETFとかなり近いものになっています。連動する投資成果を目指しているインデックス自体が①に近いことが要因です。こちらの経費率は0.72パーセント/年と上の2本と比べ高くなっています。

 

さて、この3回のシリーズを通じて、日本、先進国、新興国の株式と債券についてやってまいりましたが、どのようなことをお感じになられましたでしょうか?私が強く言いたい事は、資産を手に入れるときには、どこの箱に入るのかというのを把握しておくべきということです。今何か資産をお持ちでしたら、その資産がどこの箱に入っているのかを把握しておきましょう意外に持っている投資信託がどこの箱に入っているかわからないケースがあるものです。投資信託によっては2つ以上の箱に入るものもあり、複雑なものも多いです。

 

また、この3回のシリーズで、4番目のポイント「お金に働いてもらう場所が必要です」の投稿は、ひとまず終了としたいと思います。最後の5番目のポイント、「お金が働く環境も大事です」は、通常の証券口座だったり、NISAやiDeCoと言われる最近出来た制度など、いろいろと環境がありますが、次回以降、書いていきたいと思います。

1.まずは、元手となるお金が必要です。
2.そして、お金に働いてもらう事が必要です。
3.お金に働いてもらう時間が必要です。
4.お金に働いてもらう場所が必要です。
5.お金が働く環境も大事です。←今後書いていきます。