やすべえです。今月の証券アナリストジャーナルは『暗号資産・デジタルアセットの近未来』という特集です。
2017年頃にビットコインの大きなブームがあり、その後、暗号資産・デジタルアセットは、マーケットの注目度が上がったり下がったり、ビットコインの価格も上がったり下がったりでした。しかし、10年近くたった今でも、ビットコインは大きな注目を集めています。ビットコイン含め、暗号通貨・デジタルアセットは新しい資産運用の対象と言えるでしょうか?
この答えは、マーケット参加者がどう思うかにかかっていると思いますが、私自身はそうは思っていません。
正確に言うと、アンダーライイング(原資産)が伝統的な資産運用の商品でなければ、暗号資産・デジタルアセットは資産運用の対象にならない(私の個人的な考えです)、という感じです。
何はともあれ、暗号通貨・デジタルアセットについての知識や、暗号通貨・デジタルアセットについてマーケット参加者がどう思っているか、今月の4本の論文が教えてくれそうな気がしています。楽しく読み進めていきたいと思います!
1本目の論文は『ブロックチェーンの経済圏の潮流と新たな価値交換の模索(鳩貝淳一郎氏)』です。
本論文は、「ブロックチェーンの経済圏」の動向を概観し、決算や価値交換の将来像を考えるきっかけとして書かれています。
章のタイトルを並べると、「ブロックチェーン技術とスマートコントラクト」、「暗号資産市場で利用が進むステーブルコイン」、「分散型金融と代表的なサービス」、「様々な資産のトークン化の取り組み」、「ブロックチェーンの経済圏のレイヤー構造」、「潜在的なメリットとリスク・課題」、「分散/集中とトラストレス/トラスト」、「新たな価値交換の仕組みの模索」となっています。
興味深い箇所は、「分散/集中とトラストレス/トラスト」、「新たな価値交換の仕組みの模索」でしょうか。
「トラスト」が求められる市場と、ブロックチェーンという「トラストレス」なアーキテクチャがどのように接合するのかという、ある意味哲学的ともいえる議論が出てきます。何度か読んだけど、難しかったです。笑
一方、取っつきやすいところでは、「サトシ・ナカモト」というワードがありました。2017年の大きなブームを思い出す方も多いのではないでしょうか。
当時、ビットコインは、国などの特定の管理者を必要としない通貨として、「自由の通貨」といったイメージで広がっていきました。
その中で、核となる「ブロックチェーン技術」や「半減期」といった仕組みなど、必死に勉強した思い出があります。
2本目以降の論文を読むことで、難解であった本論文の理解も進むのではないかと楽観しながら、次に進みます・・・。
2本目の論文は『香港・米国・日本のステーブルコイン規制―制度アーキテクチャの俯瞰―(牛田遼介/柳瀬将氏)』です。
理解が進むかなぁと読み始めましたが、コチラ、けっこうミクロな話です!笑
2025年に香港で施行された「Stablecoins Ordinance」、同年に米国で成立した「GENIUS Act」、そして2022年に改正された日本の「資金決済法」を軸に、各国が定義や発行ライセンス、裏付け資産の運用ルールをどう定めているかを解説しています。金融庁の方が書かれているだけあって、明快で細かいところまで言及があります。
各国で、ステーブルコインの範囲が違っていたり、発行と流通でそれぞれ相違点があったりと、新しいモノであるだけに、制度対応もバラバラになっているということがよく分かりました。
3本目の論文は『暗号資産ビジネスの構造的理解(工藤秀明/白戸翔氏)』です。
冒頭に「暗号資産は、ポートフォリオに組み込むべき新たなアセットクラスなのだろうか。それとも、その本質は実体経済の裏付けに乏しい投機対象なのだろうか。」と書かれています。
皆さん答えは違うと思いますが、私の答えは、「少なくともメインとなるアセットクラスではない。アンダーライイングの問題でもあり、ステーブルコインなど実態があるものであれば許容できる」といった感じになるでしょうか。
昨今、ビットコイン現物ETFなるものが登場していますが、これはアンダーライイングの問題として、私としては許容できないです。もちろん「私としては」なので、読者のみなさまはご自由にしていただけたらと思います。
上記議論とは別ですが、イーサリアムについて詳しく書いてあります。
2013年にVitalik Buterin氏らが「スマートコントラクト」を標準搭載した分散型プラットフォーム構想を提示したことから始まり、「企画→開発→発行→発展→成熟」という段階を経て主要な暗号通貨になったストーリーが分かりました。
4本目の論文は『ネットワーク分析が示す暗号資産の独立性とビットコインのポートフォリオ分散効果(水門善之氏)』です。
ビットコインが資産運用の対象であるとして、ポートフォリオ分散効果はどんなものかということを計算してくれています、具体的にはシャープレシオとソルティノレシオについて計算しています。
シャープレシオについては、ポートフォリオのリスクとリターンのバランスを評価する方法として知っている人が多いと思いますが、期待リターン/リスク(標準偏差)で求められます。価格変動の上方リスクもカウントするので、「上がってれば多少リスクあってもええやん」という人にとっては次のソルティノレシオのほうがフィットするでしょう。
ソルティノレシオは、期待リターン/下方リスクで求められます。具体的には、リターンがマイナスの時のデータのみを用いて計算される下方標準偏差が分母となります。
計算結果としては、ビットコインを入れたほうが数値が高まるとなっています。シャープレシオ・ソルティノレシオが最大となるポートフォリオはこんな感じ・・・。
| 投資資産 | シャープレシオ最大時 | ソルティノレシオ最大時 |
|---|---|---|
| ビットコイン | 0.29 (29%) | 0.13 (13%) |
| 日本株 (TOPIX) | 0.06 (6%) | 0.18 (18%) |
| 日本国債 | 0.08 (8%) | 0.01 (1%) |
| 外国株 (為替ヘッジなし) | 0.21 (21%) | 0.25 (25%) |
| 外国債 (為替ヘッジなし) | 0.17 (17%) | 0.21 (21%) |
| 新興国株 (為替ヘッジなし) | 0.04 (4%) | 0.05 (5%) |
| 新興国債 (為替ヘッジなし) | 0.05 (5%) | 0.05 (5%) |
| J-REIT | 0.01 (1%) | 0.05 (5%) |
| 外国REIT (為替ヘッジなし) | 0.07 (7%) | 0.07 (7%) |
ソルティノレシオで考慮すると、ビットコインの比率が半分以下になるってのが、肌感覚とマッチしますね。日本株は3倍になってます!
読了後のひとこと
今月号の証券アナリストジャーナルは、『暗号資産・デジタルアセットの近未来』という特集でした。
株式と債券と不動産が主要な資産運用の投資対象だと考えている私にとって、暗号資産やデジタルアセットについては学ぶ動機があまりないので、今回の特集はキャッチアップする良い機会になりました。著者のみなさま、ありがとうございました。
読者のみなさまにおかれましても、今月も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました!
はじめてこの記事を見ていただいた方に
はじめまして!金融教育家のやすべえと申します。
私は、大学卒業後、証券会社3社にて金融商品のトレーダーとして20年近く勤務し、2018年から金融教育家として活動を開始しました。
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私は、2002年に証券アナリスト検定会員となり、本誌を読み始めまして、2017年から本ブログに読んだ感想をしたためるようになりました。
「備忘録」でもあり、「書きなぐり」に近いものです。その点、ご容赦頂ければ幸いです。
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