やすべえです。金融リテラシーに関する本の紹介、第8回は「ビアーズタウンのおばあちゃんたちの株式投資大作戦」という本です。これまで紹介してきた本とは少し毛色が違うかもしれません。「おばあちゃん」に限らず、どのような年齢層の人が読んでも大変学びになる本です。しかし、残念なことに絶版してしまっていますので、現在、新品の本は購入できません。リンクから中古の本は購入することが出来るようですので、よろしければどうぞ!

著者はビアーズタウン・レディース投資クラブとなっています。この、「ビアーズタウン・レディース投資クラブ」は日本ではあまり馴染みが無いですが、アメリカでは一般的である「投資クラブ」という10人くらいの集まりで投資の勉強をしたり、共同アカウントを使って実際の投資をするクラブの一つです。このクラブはすこぶる成績が良くて、「ウォール街を負かした!」と有名になり、テレビに出たり、セミナーのビデオを出したりしていて、この本まで出版したというわけです。(ちなみに、本書に出てくる「投資クラブ」は米国の制度なので、日本にそっくりそのまま持ってくることは出来ません・・・)

さて、この本には、どうやって金融リテラシーを得ていくのかというノウハウが詰まっています。最初は金融のことについて何も知らなかったおばあちゃんたちが、如何にして株式投資を進めていったのかが書かれています。投資するというアクションに対する障害とその取り除き方、投資ポリシーに関して決定する意味、わからないことを一つ一つ理解していき、自分のものにしていく・・・。「金融リテラシー」とは、「金融に関する知識や知恵を得る事」および、「その知識や知恵を活用できる力」とことと定義できると思いますが、本書は、金融に関する知識や知恵を少しずつ得て、それを皆で実践することで、その知識や知恵を活用できる力を身に付けていくというストーリーになっていますので、投資の一歩を踏み出せていない方にもおススメですし、投資はしてみたものの本当にこういった方法で良いのだろうかと考えている方にもおススメです。

 

目次は、第1部「投資クラブを作ろう」、第2部「私たちの投資大作戦」、第3部「私たちの戦果と自己紹介」となっていて、最後に「ビアーズタウン・レディース投資クラブ・パートナーシップ規約」という22条に及ぶ規約が参考資料として載っています。第2部「私たちの投資大作戦」が金融リテラシーに関する学びの部分となります。四季報(アメリカではバリューラインという本の名前になります)の読み方を知ったり、アニュアルレポートを丹念に読む意義を知ったり、株価の適正水準を知ったり、ドルコスト平均法について知ったり、配当の再投資について知ったり、投資に対する様々な基本的ではあるもののパワフルな武器を勉強して手に入れることが出来ます。

アメリカでのお話ですし、時代も1990年あたりと古いので、今では通用しないことも書かれていますが、基本的なスタンスというか考え方を学べる良著です。

 

「この会社は配当利回りが高いから」とか、「この会社は株主優待が良いから」とか、「この会社は昔からあるから」とか、「この会社は成長しているから」といった様々な理由で銘柄を選択しますが、少ない要因だけで銘柄を選択すると間違う可能性が大きくなると思います。持っている知識や知恵という武器はそれなりに揃えておいた方が良いものです。

今年から始まったつみたてNISAなどの制度の開始により低コストの投資信託が出てきて、投資信託による株式投資が広まっていることは大変素晴らしいことだと思っていますが、自らの手で頭で銘柄を選ぶという株式投資のプロセスも大変面白いものですよ!

 

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