やすべえです。

「Adaptive Markets 適応的市場仮説」という本を読んでいるのですが、実に面白くてハマっています。

136ページ『いいトレーダーって何でできてる?』

20年トレーダーをやっていたので、俄然興味を持って読んでいましたが、「トレーダーとしての成績」と「ある種の特徴」について面白い分析がなされています。

①儲かっても損しても強烈な反応をするとの結果が出た人は

・・・・・→・・・・・

そうでない人よりずっと成績は悪かった

また、

②「内在性」--自分の人生に降りかかる、いろんな出来事の原因を、たまたまよりもむしろ自分がやったことに求める傾向ーーの指標の値が高い人は

・・・・・→・・・・・

低い人に比べて成績がずっと悪かった

引用部分の「①」や「②」、「・・・・・→・・・・・」は私が入れたものです。

 

これは本当にそうだなと思います。儲かったら天狗になって、損したら落ち込む人は、だいたい数年で退場しているイメージがありますし、「相場は大自然だからそんな大自然相手にたまに損したってしょうがない」(私の口癖)と言っている、ある意味無責任な人は長続きしているイメージがあります

 

そして、トレーダーは「直感で取引する」とも書いてあります。「ある取引を実行し、別の取引をやめておいたのはなぜかと聞かれて、答えられないことがけっこうある」と。

ここも、大変納得するところで、私が言語化するのが苦手だからかもしれませんが、外野のセールス(っていうと怒られちゃいそうですが)に「何であの取引をやらないんだ!?」とか言われると、「知らんがな、やりたくないから、やらへんねん」と心で思いながら、「えっと、アルファが・・・、テールリスクが・・・、競合他社の動きが・・・、テクニカルで見てみたら・・・」などと適当に答えたことを思い出します。ゴメンなさい!

 

加えてもう一つ興味深かったのがこちらです。

トレーダーたちがギロチンの前に立っているような状況で冗談を言いたがる理由が、私には少しずつわかってきた。

彼らは、感情面でいっぱいいっぱいの状況でも、ある種そんな状況から隔絶していないといけないのだ

2003年から2006年までの間、私はロンドンでトレーディングに従事していたのですが、ある日、1銘柄の取引で数億円やられた時がありました。かなり精神的にきつかったんですけど、隣にいるトレーダーと「失ったお金のお墓」を作りました。トレーディングしているディスプレイの下に「R.I.P.」と書かれたそこそこ立派なお墓を真剣にこしらえて、飾って、「さぁ次の取引に進もうか!」なんて言っていたことを思い出します。私と隣にいるトレーダーは、すべての取引をニュートラルな状態で見ていかなければいけないことを体得していて、自然と感情を切り替えるようになっていたんですね。

 

ということで、この本、すごく面白いので、いろいろな人におススメしています!