やすべえです。最初のTOBから2か月が経過するも、経営陣によるTOB(MBO)を良しとしない大株主の登場などで、依然決着を見ない廣済堂(7868)のTOBですが、ついに、「カウンターTOB」が発動され、クライマックスを迎えます。

こちら、3部作になっておりますので、最初からお読みいただけますと理解度が深まるかと思います!

 

【翌週、株価は落ち着かず・・・2019年3月20日、カウンターTOBが発表された】

TOBの買付け価格が700円に変更されて、翌週の株価が注目されましたが、700円を上回って推移することとなりました。3月11日からの終値の推移は、714円、713円、708円、716円、722円。TOBに応募しようとする人は700円を上回った値段で買うことは無いでしょうから、このTOBに応募しない人が買っているということになります。

 

その次の週、2019年3月18日からの終値の推移は、747円、748円、737円。株価は落ち着きませんでした。普通に考えれば、引き続き、このTOBに応募しない人が買っているということになり、何かが起こることが予見されています。

 

「そして」、というか、「やはり」、かもしれませんが、2019年3月20日、「レノら」の一つである、「株式会社南青山不動産」がTOBを発表しました。買い付け価格は750円と、最近の価格を上回っています。「株式会社南青山不動産による当社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」がリリースされ、「レノら」、「村上世彰氏」とのやりとりが時系列で、赤裸々に書かれています。

 

TOBのニュースが出たときに常に押さえておくべきポイントは以下となっていました。

①買付け等の期間:2019年3月22日から2019年4月18日までの20営業日

②買付け等の価格:750円

③買付予定の株券等の数:買付予定数21,557,549株、買付予定数の下限9,100,900株、買付予定数の上限-

買付予定数が減少しているのは、「レノら」で既に相当の株式を保有しているためです。

④公開買付代理人:三田証券株式会社

 

別紙として、「株式会社廣済堂に対する公開買付けについて ~日本の上場企業及びマネジメント・バイアウト(MBO)のあるべき姿について~」という文章が添付されており、本公開買付けの経緯や、上場企業のあるべき姿や、マネジメント・バイアウトのあるべき姿について書かれています。

 

これを読んであなたはどう思うでしょうか?

 

 

【3度目のTOB(MBO)条件の変更・・・成立なるか?】

2つのTOBが同時進行していますので、以下、当初のマネジメント・バイアウトのTOBは「TOB(MBO)」と書くことにし、「株式会社南青山不動産」のTOBは「TOB(南青山)」と書くことにします。

 

2019年3月25日、TOB(MBO)において、再再度のTOB条件変更が発表されました。リンクはこちら

①買付け等の期間:2019年1月18日から2019年3月25日までの45営業日

だったものが、

①買付け等の期間:2019年1月18日から2019年4月8日までの55営業日

に訂正されました。

 

期間のみの延長で、買付け価格等(700円)の変更は、700円に値上げした時に「これでいっぱいいっぱいです」的なコメントが出されていたこともあり、行われませんでした。ちなみに、買付け等の期間が55営業日というのは見たことが無いくらい長いもので、気になったので延長に制限があるのか調べてみると、最大で60営業日までとなっていました。この金融庁の資料はTOBを理解するうえで結構分かりやすいです!

 

 

さてさて、株価はどのように推移したでしょうか?翌日2019年3月26日の株価は818円、その週は802円、798円、802円と推移し、2019年4月1日から8日までは800円台で推移しました。700円の買付け価格であるTOB(MBO)、750円の買付価格であるTOB(南青山)に応募することはどちらも非合理的であると思われますが、結果はどうなったでしょうか?買付け等の期間は2019年4月8日ですから、その翌日には結果が分かることとなります。

 

 

【TOB(MBO)は不成立!・・・残るは、TOB(南青山)】

2019年4月9日、TOB(MBO)の結果が発表されました。結果はTOB不成立でした。リリースはこちらです。最初のTOBのアナウンスからほぼ3ヶ月が経ちました。長い長い戦いでした。

 

このリリースによれば、応募株券等の総数が5,443,164株であり、買付予定数の下限12,450,800株に満たないため、応募株券等の全ての買付け等を行わないこととなったとあります。

株価はTOB価格を大きく上回って推移していましたので、当然ながら成立は難しいのですが、応募した投資家が500万株以上あったことには多少の驚きを感じました。市場で高く売れるのに、敢えて安い価格でTOBに応募して売ろうと思った投資家ということになります。

 

「TOB(MBO)」の不成立によって、この時点で「TOB(南青山)」のみが、廣済堂株式に対して行われている公開買い付けとなります。こちらの買付け等の期間は2019年4月18日でしたが、こちらのTOBも買付け等の期間が10営業日延長され(この延長は廣済堂側が請求したもののようです。) 、長いゴールデンウィーク明けの2019年5月10日となり、さらに延長があり、2019年5月22日となっていました。その翌日あたりには結果が分かることとなりますが、どうなりますでしょうか?

 

 

【TOB(南青山)も不成立!!・・・長い戦いが終了、エピローグは社長交代!】

2019年5月23日、TOB(南青山)の結果が発表されました。またしても、結果はTOB不成立でした。リリースはこちらです。ゴールデンウィークを過ぎるとは思っていませんでしたが、ゆうに過ぎました。私がこの記事を書き始めたのは2月に入って間もない頃でしたので、この文章、かなり寝かされました。(笑)

 

このリリースによれば、応募株券等の総数が427,000株であり、買付予定数の下限9,100,900株に満たないため、応募株券等の全ての買付け等を行わないこととなったとあります。

このケースでも株価はTOB価格を上回って推移していましたので、成立は無いだろうと思っていましたが、応募した投資家の株数はTOB(MBO)においては500万株以上ありましたが、TOB(南青山)では、たったの40万株強でした。

TOBが終わり、株価は2019年5月30日終値で636円。株価はTOBで買ってくれる投資家がいなくなったことで下がりました。

そして、2019年5月27日、廣済堂は「代表取締役及び役員等の異動に関するお知らせ」において、社長交代をリリースすることとなりました。TOB(MBO)、TOB(南青山)をはじめ、様々な利害関係の対立があらわになりましたが、ひとまず終焉を迎えたと言えそうです。

 

 

以上、廣済堂(7868)の公開買い付け合戦のおまとめでございました。3日に渡っての記事となりましたが、お読みいただきまして、ありがとうございました!