第5章「信託・エステートプランニング」を引き続き読んでいきますが、この章で「信託の活用」に続いて2番目に大きな項目、「エステートプランニング」です。5章の最初の投稿で少し書きましたが、家族構成や資産に関する現状把握、それに基づいたライフプランや資産承継プランを報告書の形で作ってくれるものと言えそうです。
この「エステートプランニング」ですが、インターネット検索すると、大手の信託銀行のページは出てきますが、関係の無さそうな不動産の業者のページがたくさん出てきます。まだ馴染みの薄い言葉のようです。一方、欧米で「Estate planning」とは一般的な言葉で、その中で、「Probate(遺産検認)」というキーワードがよく出てきます。この「Probate(遺産検認)」の手続きが大きな問題のようです。不動産や預金の名義を変更するために、裁判所で様々な手続きを取らなければ相続が出来ないというものです。このような面倒や費用を避けるために信託が利用される事があるようで、欧米で信託が身近に使われている理由なのかなと考えます。日本ではそういう話はあまり聞かないのですが、資産の承継の総合的、包括的な対策として「エステートプランニング」は今後の大相続時代で重要になっていくに違いありません。
「エステートプランニング」を遂行するためには、顧客の情報や財産の現状把握といったことはもちろん重要ですが、顧客が望んでいることは具体的どういったことなのかをしっかりと把握してやっていかなければいけません。加えて、定期的なプランの見直しも大事になってきます。おそらく、富裕層のタイプ別にパターンはあるにはあるのでしょうが、カスタマイズした問題解決プロセスが必要になってくるでしょう。そして、「エステートプランニング」は、自分一人では完結できない大きな課題ですから、どういったチームでやっていくかということも大事になってくると思われます。アドバイザー人脈の重要性が問われそうです。
第5章「信託・エステートプランニング」も最後の項目まで来ました。「富裕層へのリーガルサービス」です。小項目でいうと、「相続・事業承継に関する法務」、「会社のガバナンスと事業承継に関する法務」、「上場会社オーナー固有の法務」、「レピュテーショナルリスクをめぐる法務」となっています。
それぞれの法務の内容は広く浅く押さえておいて、必要な時に深く掘り下げることが必要になってくると思います。テキストを読んでいきましょう!
この項目のコラムに書いてあるのですが、家庭裁判所の遺産分割調停の4分の3が相続財産5000万円以下の家庭だそうです。お金持ちの方が事前に準備をしっかりとしているからでしょうか?相続人が遺産をあてにしたいケースが多いのでしょうか?何にせよ、4章でも書いたと思いますが、遺産分割が成立しないと銀行口座のお金も引き出せない(一部例外はありますが)ですし、配偶者への相続の特例も利用できなかったりと、皆が大変な思いをすることになってしまいます。相続税のことをいくら考えても相続のことは解決しないわけで、第一に「財産分け」、第二に「納税用の流動資産の確保」、第三に「相続税節税」という原則を念頭に置いてやっていかなければいけません。
というわけで、第5章を読み終えました。第3単位の71問のうちの23問が出題されます。出題の割合よりは大事なことがたくさんあったように思います。「信託の活用」、「エステートプランニング」の項目ではシニアPB向けのトピックも数多くあり、投資政策書を書く際に必要となってくるような知識、ノウハウがたくさんあったように思います。