やすべえです。毎月書いています、「証券アナリストジャーナルの感想」ですが、2026年も続けていきたいと思います。
証券アナリストジャーナルのタグを振り返ってみますと、2017年1月から本ブログ上で書いているようですので、9年続いています!継続は力なりでしょうか???
自分の知識の定着のために書いているとはいえ、少数ながら読者の皆様がいることも知っております。毎月、ありがとうございます!
そもそもの話となりますが、「証券アナリストジャーナル」というのは日本証券アナリスト協会が発行している雑誌です。数年前までは紙での発行だったのですが、今はオンラインのみの発行となっています。
私は日本証券アナリスト協会の検定会員として20年以上、この雑誌を読み続けています。わりとレアな人なのかと思います。笑
さて、今月の証券アナリストジャーナルは『経済安全保障と金融資本市場』という特集です。
4本の論文で特集が組まれることが多いですが、今月は3本の論文となっています。何はともあれ、感謝です!
1本目の論文は『企業経営と経済安全保障―「当事者」として対応を迫られる日本企業―(北見創/馬場安里紗/宮島菫氏)』です。
言うまでもないかもしれませんが、企業経営において経済安全保障をしっかりと鑑みなければいけないという危機感を感じました。
自然災害的なリスクをメインに考える時代から、人災的なリスク(国家による経済的手段を用いた戦略も含む)をメインに考える時代に変わり、同時に、対応は受動的なものから能動的なものへと変化が進んでいます。本文では、『地政学的リスクは「有事」に限らず「平時」にも顕在化するようになっている』と言っています。
中盤では、押さえておくべき「米中対立」についてが書かれています。
第一次トランプ政権で対中強硬路線が明確になり、バイデン政権でも維持され、On-Goingですが第二次トランプ政権でもむしろ激化しているといった具合です。米中相互関税の抑制措置の終了が11月1日だと思いますが、強硬路線の行く先には何があるでしょうか?
終盤には、日本の経済安全保障関連の枠組みについてが書かれています。
2022年5月に成立した「経済安全保障推進法」の4本柱(サプライチェーンの強靭化、先端重要技術の開発支援、基幹インフラの安定確保、特許出願の非公開)についてを紹介し、企業が取り組むべき重要課題として4つ(①経営層の関与と体制構築、②サプライチェーンの技術流出への対策、③情報管理とサイバーセキュリティの強化、④インテリジェンス機能の強化と外部連携)を挙げています。
2本目の論文は『経済安全保障―市場経済への影響と金融市場の反応―(吉本元氏)』です。
本論文では、経済安全保障への期待として2点、経済安全保障への懸念として3点を挙げています。
まず、期待についてですが、「地政学的リスクの軽減」と「政府支援」を挙げています。
前者は、経済安全保障政策が、紛争やサイバー攻撃、経済的な威圧といった市場が嫌う不確実性を抑制する機能を持つという議論で、後者は言わずもがなですが、国防費や補助金といったものが特定のセクターの企業にとって直接的に受注増や収益増につながるというものです。
一方、懸念にについてですが、「財政負担」、「規制、統制、介入」、「デカップリング」を挙げています。
財政負担は考えやすいと思いますが、費用対効果を度外視しがちな安全保障コストの増大は国の経済活動全体に悪い影響を及ぼしかねないというもので、規制や統制や介入は市場原理をゆがめることで経済の非効率化を招くというものです。
最後のデカップリングは、経済安全保障は自由貿易と相いれないというものです。自由貿易には賛否両論があり、いわゆるリカードの比較生産費説からグローバルなサプライチェーンを正当化する論調に対して、全体最適の考えは部分最適にならないので弱者を再分配などでサポートする必要性がある点が出てきますが、経済安全保障という調整項はもう一つのファクターが入るような感じでしょうか。
3本目の論文は『投資家視点で考えるサイバーセキュリティと安全保障(丸山満彦氏)』です。
結論から言うと、「サイバーセキュリティは、もはやIT部門での課題ではなく、企業価値と国家安全保障の根幹である」と主張する論文です。
2022年12月16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」において、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」という認識のもと、サイバー安全保障分野の対応能力向上が国家の重要課題と位置付けられました。
1本目の論文に出てきました「経済安全保障推進法」に加えて、「重要経済安保情報保護活用法」と「サイバー対処能力強化法」が日本の新たな安全保障体制における3つの法的支柱となっていることがそれぞれの法の説明と共に紹介されています。
企業の対応についても書かれていますが、正直なところ、「言うは易く行うは難し」だなと思いました。
投資家にとっても、サイバーセキュリティ対策を企業価値を維持するための不可欠な投資と捉え、情報開示や対話を通じて評価する視点が重要と書いてあります。しかし、これは短期的なコストと長期的な効果という組み合わせとなり、行動経済学的に実証されているように受け入れられにくいものです。
しかし、やるしかないのでしょう。
効果的なサイバーセキュリティ対策が出来るだけ低コストで出来るように、国として後押ししてもらえたらと感じました。
読了後のひとこと
今月号の証券アナリストジャーナルは、『経済安全保障と金融資本市場』という特集でした。
サイバーセキュリティと関係ない業界に投資しておけば良いではないか!と思っても、アサヒビールやアスクルのようにどんな企業でも身代金目的のサイバー攻撃を受けることがあります。一方で、サイバーセキュリティ業界は、日進月歩の世界で判断が難しい業界です。サイバー攻撃を本当に防ぐことが出来るサービスを提供しているのか、素人には理解できないところがあります。
平和な時期の投資とそうでない時期の投資には歴史的に見ても大きなリターン差がありますが、そういう時代になってきたのかもしれません。
小さな視点ではなく、大きな視点で物事を考えるようにしなければと思った今月のジャーナルでした。
最後に、読者のみなさま、今月も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました!
はじめてこの記事を見ていただいた方に
はじめまして!金融教育家のやすべえと申します。
私は、大学卒業後、証券会社3社にて金融商品のトレーダーとして20年近く勤務し、2018年から金融教育家として活動を開始しました。
詳しい説明はコチラにありますので、ぜひご覧くださいませ!
「証券アナリストジャーナル」とは、日本証券アナリスト協会が発行する会員向け月刊機関誌です。
私は、2002年に証券アナリスト検定会員となり、本誌を読み始めまして、2017年から本ブログに読んだ感想をしたためるようになりました。
「備忘録」でもあり、「書きなぐり」に近いものです。その点、ご容赦頂ければ幸いです。
ただ、証券アナリストジャーナルに寄稿してくださる方に敬意を持つこと、ブログの読者に誤解を与えずに私の思っていることをお伝えしようと心に留めながら書いています。
また、タイトル名と著者名のリンクをクリックすると日本証券アナリスト協会のサイトにジャンプし、本文の1ページ目を無料で読むことが可能です。有料で全文を購入することも可能です。
はじめましての皆さま、これまでも読んでいただいている皆様、今後とも本ブログをどうぞよろしくお願いいたします。
Facebookの告知ページがありますので、フォローやいいね!をしていただけますと、ブックマーク代わりになります。
証券アナリストジャーナルに関するものや、その他の私のアウトプットについての告知を追うことが可能です!
ありがとうございます!
- 投稿タグ
- 証券アナリストジャーナル








