ひさびさにすごい本と出会ったので紹介します。タイトルは『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』

本の帯のコメントからして、かなり読みたくさせてくれます。ハフィントン・ポストの創設者であるアリアナ・ハフィントン氏は、「メールチェック、ウェブサーフィン、『いいね』のタップがやめられないあなたは、ぜひデバイスからいったん手を放して、この本を読んでください。現代人がテクノロジーに依存する理由、そうなった経緯、そしてこれからとるべき対策について語った大切で画期的な1冊です」と言っています。

依存症ビジネスのつくられかた

ざっくりとまとめますと

「依存症」と言えば、ドラッグなど「モノ」に対してのワードであるという認識がこれまででありましたが、ゲームやインターネットなど「コト」に対してのワードでもあるということを提示してくれます。

・「モノ」であれば、使用や保有に対する見きわめがしやすいこともあり規制されますが、「コト」は無形物であるということと、プログラムの変更など進化が容易であることが影響し、「依存症」の規制の対象としづらいことを説明してくれます。

「コト」の「依存症」に誘うテクニックがあり、「目標を追求させる」、「フィードバックがある」、「進歩を実感できる」、「丁度良い難易度」、「クリフハンガー(Wikiによれば、『作劇手法の一つで、劇中で盛り上がる場面、例えば主人公の絶体絶命のシーンや、新展開をみせる場面などを迎えた段階で結末を示さないまま物語を終了とすること』と説明されている)」、「社会的相互作用」の6つが紹介されます。

・研究結果など、上記テクニックについての例が豊富にあり、例えば「マラソンで4時間(3時間)を切る」といった目標の追及、テトリスにおける上達度合いにパラレルする難易度、「ビンジ・ウォッチング」と言われるドラマをぶっ続けで見てしまう仕組み、といったような事例が出てきます。

どうすれば「コト」の「依存症」に立ち向かえるのか?という解決策を3つ提示してくれます。それぞれ、「早期の予防」「行動アーキテクチャ」「ゲーミフィケーション」なのですが、「行動アーキテクチャ」というのは、建築物のデザインのように自分の行動をデザインするというもので、私が金融リテラシーの講座で説明する「支出のバランスを整える」中で「行動を見直す」ことに関連しています。「ゲーミフィケーション」は「ナッジ」的要素を多分に含む有望な解決策だと感じさせてくれます。

 

やすべえも「依存症」かもしれない?

「習慣」と「依存症」は線引きの難しいもので、「しないと気が済まない」レベルや、「回避可能なのに他の行動に影響する」レベルになると「依存症」に近いと言えるのでしょうが、自分も考えてみると一歩手前というのもあると感じました。

私の場合は、「毎営業日、モーニングサテライトを見る」という「習慣」があって、毎日ライブで見るか録画して見るかでチェックしていて、NYからの出演者がどのくらいの頻度で出演しているかとか、東京の出演者はどんな感じかと調べるほどのウォッチャーですが、夕方になって「今日のモーサテを見ていない!」と気付いた時に、他のニュースソースでほとんどの内容はカバーできているのに録画を見てしまうんですね。うーん、一歩手前だなと思った次第です。

そんな特殊な例でなく、「夜、お布団に入って寝ていても、携帯がブルっとすると、メールを見てしまう」、「インスタグラムに投稿したいからお洒落なアイテムを探す」ですとか、考えてみると「習慣」or「依存症」というのはありふれているものです。

 

おわりに・・・「依存症」を抜け出すには?

本著では、「依存症」の場合、「私はやってはいけない」と抑制されるよりも「私はやらない」という自分発の意思が良いですとか、「依存症」を抜け出すためのアイディアがあります。しかし、「依存症」は抜本的に無くなるものではないとも言っていて、悪い習慣を良い習慣に変えていくようなことも有効とも言っています。

テクノロジーの進化は留まるところを知りません。「5G」になって通信速度という制約がほぼ無くなった時に、「コト」の「依存症」はどのように変わっていくでしょうか。

今のうちにそのバックグラウンドを知っておいたほうが良いのではないでしょうか!?

 

ということで、いつものような金融リテラシーの本の紹介というわけではないのですが、周辺部分でもある、日々の暮らしに大きく影響しつつある「コト」の「依存症」のお話でした。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた [ アダム・オルター ]

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