大学院の話やすべえです。金融、ファイナンスの世界で、何かと語られることの多い、DDM、DCF、IRR、NPVあたりについてまとめてみました。「1+r」というのも何だか記号っぽいので、入れています。(笑)

 

DDMとは

「Discount Dividend Model」の略で、日本語にすると、「配当割引モデル」となります。このDDMというのは、おそらく計算が最も楽ちんであろう、株式の評価方法となります。企業が支払う配当の金額から株価を計算してみようというものです。

淡々と、「DDMとはDiscount Dividend Modelの略で配当割引モデルのことです」と説明されてしまうと、「なんのこっちゃ?」と思考停止してしまうかもしれません!

例えば、今、100円の配当を支払ってくれて、支払った瞬間に消滅する企業があるとしたら、その企業の株価はいくらになると思いますか?100円ですよね!?

では、1年後、100円の配当を支払ってくれて、支払った瞬間に消滅する企業があるとしたら、その企業の株価はいくらになると思いますか?100円よりちょっと小さいと予想できますでしょうか!?
この「ちょっと小さい」を計算するために登場するのが「1+r」なのです。「r」は「rate」の略で、いわゆる「金利」のことです。

という関係が成り立ちます。金利が5%(rが0.05となります)だとすると、95.24円。金利が10%だとすると、90.91円となります。計算機を使って計算してみましょう!

最後に、2年後、100円の配当を支払ってくれて、支払った瞬間に消滅する企業があるとしたら、その企業の株価はいくらになると思いますか?先ほどの1年後に100円の配当を支払ってくれる企業よりも小さいと予想できますでしょうか!?
この場合は、

という関係が成り立ちます。金利が5%だとすると、90.70円。金利が10%だとすると、82.64円となります。

DDMでは、1年後、2年後、3年後と配当の額が変わったり、永久に配当が貰えるケースなど出てきますが、ここまでわかれば、教科書なりプリントなりが理解できるようになるのではと思います!

 

DCFとは

「Discount Cash Flow」の略で、「割引キャッシュフロー」と訳されますでしょうか。こちらも株式の評価方法の一つなので、「なんちゃらモデル」と言いたいところなのですが、略称を3文字にしたい人が多かったのでしょうか、「DCFM」とは呼ばずに、「DCF」と呼ばれます。「DCF法」と書くケースもあります。

先ほどのDDMでは、「配当」がキーワードになっていましたが、こちらDCFでは、「キャッシュフロー」がキーワードになります。「キャッシュフロー」とは、「現金の流れ」と直訳されますが、現金の収支(儲けや損)といったん考えておくと良いでしょう。DDMの例のように考えてみると以下のようになります。

今、100円のキャッシュフローを生み出す企業があるとして、そのキャッシュフローの価値は、100円となります。

同様に、1年後、100円のキャッシュフローを生み出す企業があるとして、そのキャッシュフローの価値は、100円よりちょっと小さいものとなります。

DCFでも、1年後、2年後、3年後とキャッシュフローの額が変わったり、永久にキャッシュフローがあるケースなどが出てきます。

 

 

IRRとは

「Internal Rate of Return」の略で、日本語にすると「内部収益率」と訳されます。これも「なんのこっちゃ?」になりがちなのですが、「年間の儲け(または損の)利回り」のことです。

例えば、今、100円を投資して、1年後に150円で戻ってくる機会があるとしたら、IRRはいくらになるでしょう?このIRR、「年間の儲け(または損の)利回り」も「r」で示しますと、

という関係が成り立ちます。「r」は0.5になりますので、パーセントに直しますと、50%となります!

では、今、100円を投資して、2年後に150円で戻ってくる機会があるとしたら、IRRはいくらになるでしょう?先ほどよりも小さい「r」になることが予想できますね!この場合は、

という関係が成り立ちます。これは計算が少し難しいですが、「r」は0.2247となりますので、パーセントに直しますと、22.47%となります!

上記の例では投資と回収が一回ずつだったので、左辺に投資額、右辺に回収額を書きましたが、そのうち、投資額や回収額が複数年で生じたりする複雑なケースが出てきます。その場合は、左辺を0として、右辺にそれぞれの年の投資額(投資しているのでマイナスとなります)や回収額(お金が戻ってくるのでプラスとなります)をIRRで割り引いて「現在価値」にしていくプロセスが必要になってきます。次の「NPV」の所で説明していきます。

 

NPVとは

「Net Present Value」の略で、「正味現在価値」と訳されます。先ほど、「現在価値」という単語が出てきましたが、「現在価値」というのが「Present Value」で、そのトータルの価値が「正味現在価値」となります。

「現在価値」を求めることが出来れば理解したも同然です。ここでは、分かりやすくするために金利を10%として、「現在価値」を求めていきましょう。

例えば、今の100円の現在価値はいくらでしょう?これは計算する必要もなく、100円ですね!

次に、1年後の100円の現在価値はいくらでしょう?100円よりちょっと小さいと予想できますでしょうか!?これは、

という関係が成り立ちます。金利は10%ですので、この現在価値は90.91円と求められます。

次に、2年後の100円の現在価値はいくらでしょう?先ほどの1年後の100円の現在価値よりも小さいと予想できますでしょうか!?これは、

という関係が成り立ちます。金利10%で計算しますと、この現在価値は82.64円と求められます。

このようにして、将来価値(Future Valueなんて言います)を割り引いて、現在価値を求めます。

これを足し合わせたものがNPVとなります。IRRの説明の最後の部分と同じく、投資額については、投資しているのでマイナスとして、回収額については、お金が戻ってくるのでプラスとすることを心に留めておけば、NPVを求めることが出来るようになるでしょう!

最後の例として、今100万円投資して、1年後、2年後、3年後に50万円ずつ回収するケースを考えます。こちらも金利「r」は10%としましょう。計算の手順は以下のようになり、計算結果は24.34万円となります。いかがでしたでしょうか!



 

勢いに任せて、たくさん書いてしまいました!今回はここまでです!

 

本記事は、少し前に書きました「CSR、ESG、CSV、SDGsについてまとめてみました」という記事の金融、ファイナンス版と捉えていただけたらと思います。

 

また、こういった「略称3文字」を覚えるためには、付箋紙などに書いて、見やすいところに一定期間貼り付けておくと良いでしょう。そのうち当たり前のように使っている自分に気づくはずです!!