やすべえです。証券アナリストジャーナル、今月の特集は、「資産運用会社を変革するために何をなすべきかー第11回SAAJ国際セミナーー」です。

今回はいつもと違った流れになっています。①まず、動画版から収録しました!その動画の編集も昨日終えまして、②それから記事を書いてアップしている!という流れになります。先月までは、動画版かブログ版かお好きな方をご覧ください!なんて言っておりましたが、今回は、動画版見て欲しいです!ほぼ全編にテロップを入れるという手間をかけました!(笑)

こちらのリンクから、または埋め込みの動画で見てやってください!

 

SAAJ国際セミナー、新コロにより会場開催中止→誌上開催へ!

日本証券アナリスト協会には、2つの大きな大会がありまして、1つが「日本証券アナリスト大会」、そしてもう1つが今回採り上げられています「SAAJ国際セミナー」となります。前回の「SAAJ国際セミナー」2019年は4月16日に開催されましたが、今年(2020年)の「SAAJ国際セミナー」は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、会場での開催が中止となり、誌上での開催となりました。

「誌上での開催とは?」と戸惑いましたが、会場で登壇する予定の方々が、寄稿などしてくださっているということになります。

ラインナップは、1本目(特別寄稿)として、遠藤俊英氏(金融庁長官・執筆時)の「資産運用業の高度化に向けて」。動画版で熱く語りました。章を設けて、後程書いていきます。

2本目(対談)として、デイビッド・A・ハント氏(PGIMインク社長兼最高経営責任者)と前原康宏氏(日本証券アナリスト協会専務理事)の「資産運用業における顧客重視の文化」ここ5年程度の資産運用業界の変化として、「資産クラスの劇的な拡大」「業界の急速なデジタル化の動き」「グローバルな視点を持つことの重要性が増していること」を挙げていらっしゃって、納得するとともに、それぞれの資産運用会社が変化に対応できているかと考えると、なかなか対応できていないところもあるかなぁと思います。日本の資産運用業界と欧米の資産運用業界を比べると、厚みが違うなぁとキャッチアップの重要性を感じます。

3本目(寄稿)として、菅野暁氏(アセットマネジメントOne株式会社代表取締役社長)の「本邦資産運用業界発展の方向性」。本稿では日本と欧米の資産運用業界の歴史的な経緯や、比較が出てきます。2本目の対談を読んで感じた、キャッチアップの重要性について、より知見を深めることが出来ます。

これからの日本の資産運用業界は、経営者の本気度が勝敗を分けると改めて思います。「変わらなければいけないことは分かっている。でも変われない。」となるのか、「変わるんだ。それから考える。」となるのか、興味深いです。

私の動画では、日本の資産運用会社が注力(?)しているテーマ型投信、そして日本の資産運用会社自体に対して、思っていることを熱く話しております。

4本目(座談会)として、中桐啓貴氏(GAIA株式会社代表取締役社長兼CEO)、中野晴啓氏(セゾン投信株式会社代表取締役社長)、水野清司氏(楽天証券株式会社コーポレート本部経営企画部資産形成・運用支援室長)、島田知保氏(司会、イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社)による「”投資信託”による資産運用拡大に向けて担う役割ーアドバイス、運用、販売ー」。様々なプレーヤーが資産運用業界にいるわけですが、それぞれの方が理想の資産運用業界像を持っていらっしゃって、邁進していらっしゃいます。その中で、私は微力ながらも何か出来ることは無いかと模索しておりますが、御三方の座談会の中に、勇気、挑戦といったものを感じました。

終盤、中桐さんは『1番効果的なのは、新入社員の時に、一昔前の保険のように「社会人になったら積立投資をするもの」という文化を作ることが早いように思う。また中学や高校では、資本主義においては経済は右肩上がりで成長し、分散投資をしていれば長期的には株価は上がり続けていくという本質的な仕組みを教える必要があると思う。』とおっしゃっていて、読んでいて、思わず「そうだー!」と声を上げてしまいました!

 

 

「資産運用業の高度化に向けて(遠藤俊英氏)」

金融庁の方の講演を拝聴したり、論文を読ませていただきますが、価値あるものだなぁといつも思います。というのも、しっかりとした現状分析、金融庁としての課題意識、金融庁としてのアクション、といったように、論理的に議論が進んでいくので、すっきりと腹に落ちる感じがあるからです。この寄稿についてもその通りになっています!

 

現状分析は、「国内外の資産運用業の現状」として、3点、「世界的なパッシブ運用の急伸と寡占化の進行」、「アクティブ運用を主軸としてきた欧米資産運用会社の対応」、「日本の資産運用業の状況」ということで、前の2点は受動的、能動的は別にして規模の利益を獲得することによって競争力を維持・強化しているということが強調されます。

次いで、「日本の公募投信市場の現状」として、2点、「日米のパフォーマンス比較」、「パフォーマンスの原因」ということで、「日本の大手資産運用会社の多くが、運用するアクティブ公募投信において十分にαを生み出せていない」、「資産運用会社の運用力の問題が指摘されている」とズバッと斬っています。

 

章は、「主な課題」、「今後の行政における対応」、「終わりに」と続いていきますが、ヒアリングの結果や、他国の状況を織り交ぜながら、論理的に議論が展開されます。

この内容に関しては、金融庁のホームページでも、「資産運用業高度化プログレスレポート2020」として公表されています。パワポ30枚と読み応えのあるものですが、素晴らしいです!興味のある方は是非ご一読を!

 

お読みいただきまして、ありがとうございました!

ここまで読んでくださいました皆さま、お読みいただきまして、ありがとうございました!

この「証券アナリストジャーナルを読んで」シリーズの投稿は、「金融教育家やすべえがプロフェッショナルであり続けるためのインプット」というのが「第一義の目的」なのですが、記事を読んでいただいた方が「金融の世界ではこんなことが議論されてるんだぁ」とか、「金融業界に対する見方って色々あるんだなぁ」とか、何らかの「!」を得ていただけたらというのも目的としてあります。

拙い文章で申し訳ないなぁと思っていますが、毎月一定数の方が読んでいただけております。私にとっては、読んでいただいて、何らかの「!」を得ていただいているというのが嬉しいですし、それは私が毎月書いていくモチベーションにもなります。感謝いたします。

ということで、来月はいつもの論文集を読み解くようなフォーマットになると思いますが、また読んでいただけたら嬉しいです!では!