今回は、1級FP技能士資格実技試験における、パート1、パート2の問題の傾向と対策を書いていきたいと思います。実際の相談の場合は、時間をかけてお話を聞かせて頂いて、様々な案を考えた上でソリューションを提案するのでしょうけれども、何せ、15分間で考えて、12分間で伝えきらないといけません。そんな事情もあり、少し塾講師っぽいテクニック的な話になってしまうかもしれませんがご容赦を・・・。
パート1でまず押さえておきたいのが、「中小企業の事業承継対策に関する問題」です。まず、問題点として挙げるものとして、「遺産分割」、「相続税の軽減」、「納税資金」、「事業承継」、「子供に株式を移転」、「生前贈与」あたりがありますので、これは問題文をもらったら「分・軽・納・事・子・贈」などとわかるように書いておくと、緊張していて頭の中が空っぽになっても絞り出せる可能性が出てきますので良いかと思います。
それぞれの問題点には、定番ソリューションがあります。
「遺産分割」であれば、遺言、遺留分、代償分割といったこと、
「相続税の軽減」であれば、小規模宅地等の軽減、配偶者の税額軽減などがありますし、
「納税資金」であれば、生命保険の活用や、会社に資産を買い取ってもらう選択肢などが出てきます。
「事業承継」は、経営承継円滑化法による遺留分に関する民法特例を活用したり、株価引き下げ策など、
「子供に株式を移転」に関しては、譲渡か贈与か相続、どれは良いのかですとか、非上場株式に適用される納税猶予や免除も大事です。
「生前贈与」は、暦年贈与や相続時精算課税制度、お子さんやお孫さんへの一括贈与について押さえておきたい所です。
また、FPとしての職業上の倫理などが聞かれますので、自分の言葉で言えるようにしておくことと、何を大事にしているのかなど少し考えてみるのも良いと思います。私は、お客様とお話させていただくときは最初に伝えることにしています。きちんと伝えることでお互いの距離も縮まりますし、コミュニケーションのレベルも上がると感じています。
次にパート2ですが、「不動産に関する問題」が多いです。そして、「相談の依頼者から追加で聞く情報」や、「FPが調べる情報」は何ですか?という質問がだいたい来るはずですので、それぞれに対して、パート1でやったように問題文をもらった瞬間に暗号のように書いてしまうのが良いかと思います。
「相談の依頼者から追加で聞く情報」は、依頼者が保有している土地、建物、会社、契約について追加で聞くことが多いので、「2つのT(Tochi、Tatemono)、2つのK(Kaisya、Keiyaku)」と覚えておくと良いでしょうか。他にも、フローやストックの嗜好も絡んでくるライフプランや、年齢やご家族の状況など含めた人に関すること(「人・人生」)も聞くべき事象となってきます。
「FPが調べる情報」は、確認することが大事で、「現地」の確認であったり、所有している土地や建物の「規制」や「権利」の確認であったり、売買や賃貸する際には「価格(市況、妥当性)」の確認が大事になってきます。「カ行(ゲんち、キせい、ケんり、カかく)の確認」などとして覚えておくと良いでしょうか。
パート2では専門家との連携というのも聞かれる項目ですので、1級FP技能士が連携して解決を図る弁護士さんや税理士さんといった「士(さむらい)」の役割、独占業務については、実務でも必要なので、しっかり覚えておくべきです。
次回、もう少し「傾向と対策」を書いていこうと思います。