やすべえです。金融リテラシーに関する本の紹介、久々になります。なんやかんやで第10回になっていました。今回は『運用のプロが教える草食系投資』という本です。投資をはじめたい方、大学生くらいから大人まで、基礎的な知識から実践的な投資力まで身につくような素晴らしい本です。

著者は澁澤健さん、中野晴啓さん、藤野英人さんのお三方です。ご存知の方も多いと思いますが、それぞれコモンズ投信、セゾン投信、ひふみ投信という投資信託の会社をやっていらっしゃる方です。この本を携えて、と言ったら語弊があるかもしれませんが、このお三方で日本全国を行脚していらっしゃいます。「投資を根付かせる旅」と言えばよいでしょうか?意義深い活動をしていらっしゃいます。

 

この本は、2010年4月に発刊されているのですが、昨今の資産運用の時代を見据えた、先見の明溢れる名著であると、今読み直しながら思います。著者たちはいわゆる「金融商品の供給者側」ですが、高い志を持って日本における投資の現状を打破しようと尽力しています。そして、この本を読んだ方や、「投資を根付かせる旅」でセミナー等に参加した方、いわゆる「金融商品の利用者側」も、投資に対する理解を深め、金融商品の購入時の選択などに活かすことによって、実際の自分自身の投資に役立てるとともに、日本における投資の現状を変えることに、間接的にですが影響を与えています。また、忘れてはならないのは「監督官庁」であり、業界に警鐘を鳴らすような活動や、制度の整備などを通じて、日本における投資の現状を良くしようとしています。

上記の、三者(「金融商品の供給者側」、「金融商品の利用者側」、「監督官庁」)のそれぞれの取り組み、また、お互いの取り組みの相互理解が、日本における投資の現状を良い方向に変えていくのだと私は思っています。

 

さて、本を読み進めていきます。

1章は『投資に対する5つの誤解 「草食系投資」なら大丈夫』と題し、投資への不安を取り除いていきます。「投資は怖い、だまされるもの」、「預金と保険で十分ではないでしょうか」、「投資は勉強しないと無理ですか」、「お金が貯まったら、始めます」、「今は投資の始め時なのでしょうか」という5つの誤解を解いていきます。

2章は『肉食系の投信業界 あなたが投資信託で損する理由』と題し、販売会社ありきの投資信託という歴史、販売手数料、信託報酬の高さについて、赤裸々に述べていきます。ついに、ここ最近ですが、インデックス投信の手数料革命で流れが変わりつつあるところです。

この章の最後に直販投信会社が運用しているファンド一覧があるのですが、ひふみ投信の純資産残高は5億円、コモンズ投信の純資産残高は5.9億円と書いてあります。この数字、苦労の歴史が思い浮かび、胸が熱くなります。

3章は『肉食な業界にいた僕らが草食系投資に導かれたワケ』と題し、この本の著者である、中野氏、渋澤氏、藤野氏のストーリーが書かれています。中野氏の挫折の記録は、業界のことを知っている方には涙無しには読めないものかもしれません。

4章は『プロがレクチャー!草食系投資の実践方法』と題し、中野さんは、雑誌のキャッチコピーなどで最近流行している「ほったらかし」という言葉や、「地球全体の経済成長に乗っていこう」という言葉で、長期投資のポイントを説明していきます。また、澁澤さんや、藤野さんも、それぞれの投資方法を説明します。

その後、5章『三者三様 ホンネでバトル! あなたに合った草食系投資』、6章『草食系投資が作る未来の日本』と続いていきます。お三方の思いが存分に主張されています。

こういった「金融商品の供給者側」の思いが、「金融商品の利用者側」へと届き、今や、ひふみ投信の純資産残高は1000億円を超え、コモンズ投信の純資産残高も100億円を超えています。両投信とも、直販以外の投信も手掛けていて、いわゆる兄弟ファンドの純資産残高もかなり大きな数字になっています。感慨深いです!

 

最後に、お三方の投信会社へのリンクです。
・澁澤健さんの「コモンズ投信」
・中野晴啓さんの「セゾン投信」
・藤野英人さんの「レオス・キャピタルワークス」

 

 

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