やすべえです。今回から「数字の話」と題して資産運用の世界でよく使う数字や、覚えておきたい数字について話を書いていきたいと思います。第一回目は「72の法則」についてです。
72の法則とは、元本が2倍になるような年利と年数の関係が簡易的に求められる法則です。
「年利×年数=72」という式になりますが、例を挙げますと、年利6パーセントで運用できると12年で元本が2倍になったり(年利6パーセント×12年=72)、年利4パーセントで運用できると18年で元本が2倍になる(年利4パーセント×18年=72)ということです。表にすると、下図のようになります。順に、「年利(パーセント)」、「72で単純に割ったときの年数」、「精緻に計算した時の年数」となります。(注:精緻に計算と言っても、xを年利(パーセント)、yを年数(年)として、等式「(1+(x/100))^y=2」を解いただけで、両辺に対して「(1+(x/100))」を底とする対数を取って、エクセルでポチポチ計算しているだけです。)
さて、なぜこの「72の法則」が重要かという話ですが、「倍になるスピードがわかる」ということに尽きます。もちろん、「倍にするために資産運用をしましょう!」という啓蒙にもなりますし、「この運用方法で良いのですか?」という問題提起にもなりますし、「借金も放っておくと倍になっちゃいますよ!」という注意喚起にもなります。つまり、年利4パーセントで運用する商品であれば18年で資産が2倍になることがわかりますし、0.1パーセントの定期預金だと720年も経たないと資産が2倍に増えてくれないことがわかりますし、年利12パーセントで借金をしていると6年で負債は2倍になってしまうことがわかります。
GDPの増え方に「72の法則」を使うことも有効です。日本のGDPがなかなか増えない中、中国は年率7パーセント近くでGDPを増やしています。この法則を使えば中国のGDPが約10年で2倍になるということがわかります。また、先進国で言うと、アメリカはここ20年で平均2.3パーセントくらいの成長率なのですが、法則で計算するとアメリカは31.3年でGDPが2倍になるということがわかります。日本はここ20年で平均0.75パーセントくらいの成長率ですので、日本は96年でGDPが2倍になることがわかります。96年経つとアメリカのGDPは2倍×2倍×2倍=8倍と少しになっているでしょうから、アメリカと日本のGDPの比率は90年後には4倍になっていることになります。GDPの成長率を上げるということが中長期的な視野で如何に重要なことなのかが、こんなことからもわかります。
次回は、10パーセントのお話をしてみたいと思います。