やすべえです。今回から、「ビジョナリーカンパニーを読む」シリーズを書いていこうと思います。私向けの読書感想備忘録として書くので、この記事を読んだ方に役立つのか不明ですが、「ビジョナリーカンパニーを読んでみたいと思っていた方」、「ビジョナリーカンパニーという本のことは聞いたことはあるけれど、読んだことは無い方」、「ビジョナリーカンパニーを本屋で見たことはあるけど、分厚かったので読めていない方」にも意識しながら、書いていこうと思います。

 

ビジョナリー カンパニー シリーズ

このシリーズは、ジェームズ・C・コリンズ(ジム・コリンズ)を中心的な著者とする企業分析の書籍です。シリーズからスピンオフしたような書籍もありますが、メインとしては4冊となります。

1.ビジョナリー カンパニー 時代を超える生存の原則
2.ビジョナリー カンパニー② 飛躍の法則
3.ビジョナリー カンパニー③ 衰退の五段階
4.ビジョナリー カンパニー④ 自分の意志で偉大になる

4冊共に、「ビジョナリーカンパニー」という、ざっくり言ってしまえば「すごい企業」について書かれていて、4冊の副題がそれぞれの内容を示しているということになります。実は、英語のタイトルは副題に近い感じで、それぞれ以下のようになっています。

1.BUILT TO LAST
2.GOOD TO GREAT
3.HOW THE MIGHTY FALL
4.GREAT BY CHOICE

読まれている度で言うと、1995年、2001年に出版された「1」と「2」がベストセラーでかなり読まれています。「3」と「4」は当然ですが「1」、「2」の後に書かれている(それぞれ2010年、2012年に出版されています)ので、時代背景的に近いこともあり、為になる度で言うと「1」、「2」に匹敵するくらい高いと思います。

 

ビジョナリー カンパニー シリーズにおける分析手法

ビジョナリーカンパニーシリーズでは、米国株を中心とした世界中の株を何らかの方法でビジョナリーカンパニーというものをピックアップし、次に、本シリーズの特徴となりますが、そのビジョナリーカンパニーに対する比較対象の企業も何らかの方法でピックアップします。

そして、ビジョナリーカンパニーと比較対象の企業に対し、膨大なデータや文献を調べていき、ビジョナリーカンパニーとそうでない企業を分ける要因となっているかを解き明かしていきます。

 

ビジョナリー カンパニー 時代を超える生存の原則 – まずは目次から

ビジョナリーカンパニー今回は、第1冊目となる、「ビジョナリー カンパニー 時代を超える生存の原則」について書いていきます。

まずは目次から見ていきますが、10章に分かれています。1章から、

「最高の中の最高」
「時を告げるのではなく、時計をつくる」
「利益を超えて」
「基本理念を維持し、進歩を促す」
「社運を賭けた大胆な目標」
「カルトのような文化」
「大量のものを試して、うまくいったものを残す」
「生え抜きの経営陣」
「決して満足しない」
「はじまりの終わり」

となります。

目次を見ただけでは、内容が読み取れないタイプの目次なんです!笑

 

ビジョナリーカンパニー vs 比較対象企業

「分析手法」のところで、「ビジョナリーカンパニー」と「比較対象企業」をピックアップすると書きましたが、この第1冊目の「ビジョナリー カンパニー 時代を超える生存の原則」でピックアップされた企業は以下の通りとなります。企業名の後の括弧内は、ティッカーシンボルですが、参考までに入れています。

ビジョナリーカンパニー:3M(MMM)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ボーイング(BA)、シティコープ(C)、フォード(F)、GE(GE)、ヒューレット・パッカード(HPEとHPQ、2社に分割された)、IBM(IBM)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、マリオット(MAR)、メルク(MRK)、モトローラ(2社に分割され、通信機器開発製造会社は買収、通信事業会社はMSIとして存続)、ノードストローム(JWN)、プロクター&ギャンブル(PG)、フィリップ・モリス(MO、スピンオフした企業としてPM)、ソニー(6758)、ウォルマート(WMT)、ウォルト・ディズニー(DIS)

ビジョナリーカンパニーだけあって、現在も存続している企業が殆どです。比較対象企業はこちら。

比較対象企業:ノートン(サンゴバンにより買収)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、マクダネル・ダグラス(ボーイングが吸収合併した)、チェース・マンハッタン(JPモルガンとの経営統合で、JPM)、GM(GM)、ウエスチングハウス(事業売却等でナシ)、テキサス・インスツルメンツ(TI)、バローズ(?)、ブリストル・マイヤーズ(BMY)、ハワード・ジョンソン(?)、ファイザー(PFE)、ゼニス(LGエレクトロニクスにより買収)、メルビル(?)、コルゲート(CL)、R・J・レイノルズ(RJRナビスコとなり、KKRによる買収)、ケンウッド(6632)、エームズ(?)、コロンビア(ソニーにより買収)

ビジョナリーカンパニーと比較対象企業を見比べるだけでも、なかなか興味深いと思いませんか?

 

読んで思ったことを赤裸々に・・・

・ビジョナリーカンパニーは、「時を告げるのではなく、時計をつくる」と表現されますが、一つの「商品」をヒットさせるのではなく、ヒットをさせる「企業」を作っていると分析されています。具体的にはヒューレット・パッカードにおける「HPウェイ」などに代表される「企業文化」と言えます。

・この「企業文化」というものが、張りぼてでは全く無い非常に芯の強いもので、不変で妥協の余地が無いものでもあり、特徴として社員への浸透度が非常に高いことが挙げられます。この「理念」は相当強力なものなので、それを曲げてまで利益を追求することはしないイメージでしょうか。「理念」として、フォードの「3つのP」やジョンソン&ジョンソンの「Our Credo(我が信条)」が出てきす。

・また、「企業文化」が誰にでも受け入れるものではなく、合う合わないがはっきりとあることも言及されます。本書では「カルトのような文化」と表現しています。「ビジョナリーカンパニー」はエッジの利いている「カルトのような文化」を持つ企業であるため、「自由な会社」では無く、「万人に居心地の良い会社」でも無いということです。

・他には、「社運を賭けた大胆な目標(「BHAG」と名付けられます)」、「大量のものを試して、うまくいったものを残す(これは、一つの成功に固執しないという事にも関連していそうです)」、「生え抜きの経営陣(こちらは明確な傾向として出ていますが、必ずしも社外から招いたCEOが悪いという事でもないのかもしれません)」、「決して満足しない(現状を不十分と感じるようにする仕組み、とも書かれています)」といったポイントが分析結果として見出されました。

 

日本の企業が陥っている罠?見た目重視の「ミッション・ビジョン・バリュー」

最近の日本の大企業を見ていて思うのですが、「企業文化」を何としてでも築き上げていこうと「ミッション・ビジョン・バリュー」を作ることがトレンドになっている気がします。

そんなたくさん生まれてくる「ミッション・ビジョン・バリュー」ですが、いまひとつ良く分からない総花的な「ミッション・ビジョン・バリュー」が多いと感じませんでしょうか!?または、当社に相応しい「ミッション・ビジョン・バリュー」を見いだした!なんて声高らかに社外に宣言していて、実は社内には浸透していない「ミッション・ビジョン・バリュー」って、意外に多いのではないでしょうか!?「ミッション・ビジョン・バリュー」の作成・浸透というのは、軽々しくは出来ないものなのでしょう。

本書には良い例と悪い例が挙げられています。良い例はこちら。

「参入したすべての市場でナンバー1かナンバー2になり、当社を小さな企業のスピードと機敏さを持つ企業に変革する」

どうですか?悪い例はこんな感じです。

「トータル・クオリティ」 「市場のリーダー」 「技術主導」 「グローバル」 「焦点を絞った成長」

焦点が散らかってしまう感じで、伝わってこないですよね・・・。

 

ということで、『ビジョナリーカンパニー』を読む、第1回目、このあたりで終わりにしたいと思います。何度でも読みたい、本棚の一列目に置いておきたい良い本です!

次回は『ビジョナリー カンパニー② 飛躍の法則』について書いていこうと思います。では!

ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則 [ ジェームズ・C.コリンズ ]

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