やすべえです。ちょっとショッキングなブログの題名ですが、この「地方消滅」と「東京消滅」というのは増田寛也氏の著作のタイトルです。それぞれ、2014年と2015年に出版されました。今回は、この2冊の内容を中心に日本の人口について書いてみようと思います。

まず、「人口予測」は、数ある将来予測の中でかなり精度の高い予測と言われています。政治や経済の将来予測や、マーケットの将来予測など、なかなか当たりませんが、人口の将来予測は別格で、精度が高く予想できます。「地方消滅」と「東京消滅」では、この「人口予測」を行い、しっかりと分析して、問題を提起しています。

 

「日本の人口は今や減っています。」と言われると、少し危機感を抱きませんでしょうか?実際、2010年(人口1.28億人)から明確なダウントレンドで減り続けていて、すでに100万人以上減少しています。

では、「日本の人口は今から30年ちょっと後の2050年には1億人くらいになります。」そして、「日本の人口は2100年には5000万人くらいになります。」と言われますとどうでしょうか?これは、出生率が低位推移し続けるという仮定ですが、中位で推移したとしても2100年の日本の人口は6000万人くらいと予測されています。つまり、今の赤ちゃんが老後を迎えるときには日本の人口が今の半分以下になっているということになります。

こういった人口の推移の予測は、国立社会保障・人口問題研究所で行われています。ホームページはこちら(http://www.ipss.go.jp/)で、レポートは長いですが、リンクはこちら(http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_ReportALL.pdf)です。

 

総人口の話は上記のような感じになりますが、年齢別の人口の話になると、また新たな話が出てきます。3つに期間を分けて考えてみますと、①2000年あたりから2010年までの人口横ばい期は、老年人口が高齢化で増え、生産・年少人口が少子化で減る流れでしたが、2040年くらいまで老年人口の増え方がなだらかになり、人口が徐々に減る形で続いていくようです。②2040年くらいからは生産・年少人口は相変わらず減り続けますが、老年人口が横ばいになり、③2060年くらいからは生産・年少人口は減り続け、老年人口も減っていくという予測になっています。

ここで、なぜ「地方消滅」?という話になるのですが、「この人口減少①②③の流れが、地方は都市部よりも何十年も先を進んでいて、市区町村が消滅しはじめている」というものです。つまり、上記の②や③の期間に既に入っている地方自治体があるわけです。「地方消滅」の巻末資料において、2040年(もうすぐの話です)には896自治体が「消滅可能性都市」に当たり、523自治体が「消滅可能性が高い」と自治体名と共に記されています。

そして、「東京消滅」?という話は、こんな話です。そもそも、昔からの若者の人口移動の傾向として、「地方から地方都市へ、さらに東京へ」という流れがありました。そのおかげで東京は若者の人口が多く、総人口も増え続けています。しかし今後、「地方消滅」していく中で、地方サイドの若者供給力が底をついてしまうので、東京に移ってくる若者が減り、上記の②や③の期間に入り、いずれ東京も無くなってしまうかもしれないということです。

 

「東京消滅」の本には、人口変化の予測とともに、大きな問題として、「介護」の話が出てきます。「東京」の急速な高齢化で、介護してくれる「ヒト」も介護に必要な「カネ」も足りなくなるのではというものです。東京はオリンピックが終わってから5年後、2025年あたりから高齢化が急速に進み始めます。東京の高齢化率(65歳以上の方の比率)は、2025年の27パーセントから、わずか15年後の2040年には34パーセントまで急増し、その10年後の2050年には39パーセントまで上昇するようなのです。人口が物凄く多い東京において、このような急なスピードで高齢化が進むと、介護してくれる「ヒト」が足りなくなり(もちろん「ベッド」とかも足りなくなると思いますが)、3年ごとに見直される介護保険制度の費用負担も急激に増えるので介護に必要な「カネ」の面も厳しいという話です。

ちなみに、介護保険制度の負担は約1割を利用者が負担して、残りの費用を公費と保険料で折半することになっています。保険料の内訳は、65歳以上の第1号被保険者が残りの費用の22パーセントを負担し、40歳から64歳までの第2号被保険者が残りの費用の28パーセントを負担するとなっています。

 

人口予測は他の様々な予測をする際の基礎となりえる部分ですし、人口問題を知っておいて損になることはないと思います。この投稿を機に、さらに人口問題を学んだり、この2冊の本を読むきっかけになれば嬉しく思います。