やすべえです。前回は「高額療養費制度」について書きました。今回は「高額介護サービス費」について書いていこうと思います。
この「高額介護サービス費」というのは、公的介護保険の制度です。まず、介護保険について少し説明しようと思います。介護保険は2000年に創設された新しい制度です。導入前は、市町村がサービスを決める福祉側の施策と従前からある国の医療側の施策が並行していたようですが、高齢化の進展で介護ニーズの増大を受け、福祉・医療の両面を総合的にカバーする介護保険制度が創設されました。
保険料は40歳以上から払い込むこととなります。65歳未満までは「第2号被保険者」という位置づけで、医療保険料と一緒に徴収されています。65歳以上は「第1号被保険者」という位置づけで、市町村が徴収しますが、基本的には年金から天引きされる形となります。高齢化が進んでいく中で保険料は上昇傾向で、「第2号被保険者」では、標準報酬月額・標準賞与額に対する保険料率は1.65%(平成29年度)となっており、「第1号被保険者」は保険者によって大きく変わりますが、平均で月額5514円(平成27年度から29年度までの平均)となっています。
利用者の負担は、原則として1割負担で、一定所得以上の人は2割負担となり、平成30年8月からは見直しにより、3割負担となる人も出てます。ここで、ようやく「高額介護サービス費制度」の話になりますが、1か月のうちに支払う介護費の上限が定められており、その上限額を超えた額がこの制度によって支給されるというものです。利用者の負担は1割から3割まで負担割合が変わってきますが、上限額はそれぞれ所得によって絶対額で決まっています。「高額療養費制度」と似た制度になります。下記に、ひと月の上限額のテーブルを記します。
例えば、現役並みの収入がある方ですと、ひと月の上限額は「44,400円」となります。12カ月間、毎月上限額に達した場合、年額で「44,400円×12か月」=532,800円」が上限額(負担額)となります。また、介護期間は平均で4年11カ月との調査結果(生命保険文化センターによるデータです。)が出ていますが、10年以上介護しているケースも15.9%とそれなりの確率となっていますので、この負担が10年間、ずっと続いていくと仮定すると、一生で「532,800円×10年」=5,328,000円」がざっくりとした計算での負担額となります。
この事実から、一生分の介護医療費の支払いに備えて5,328,000円程度を介護開始前までに別口で貯めておくという考え方は如何でしょうか?介護費の費用の目安は300万円という方もいれば、1000万円という方もいますが、制度が新しいことや、制度変更の可能性が高いこともあり、流動的なものですので、定期的に必要額を再考することが必要と言えそうです。
生命保険文化センターのリンクはこちら(http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/4.html)です。
介護保険制度の概要についての厚生労働省のリンクはこちら(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html)です。
介護については、漠然とした不安はありつつも、どのくらいの費用を準備すべきかが判然としないものです。しかし、この投稿を機に、「高額介護サービス費制度」について知ったり、学んでいただいて、介護保険について、介護の費用について考えるきっかけになれば嬉しく思います。
また、医療の負担と介護の負担が重なって合計の負担額が著しく高額になる場合は、「高額介護合算療養費」という制度があります。すごくざっくりですが、前回の投稿での表の「12カ月連続で医療費が月100万円だった場合の年間の負担額」プラス少しの額が上限額となっており(平成30年8月からそのようになります)、毎年8月1日から翌年7月31日までを一括りにして年額ベースでの軽減措置となっています。