やすべえです。今回は「安全資産」と「リスク資産」についてです。「インフレーション(物価が上昇していくこと)」、「デフレーション(物価が下落していくこと)」と絡めながら説明できたらと思います。結論から言ってしまいますと、「リスク資産」を持たず、「安全資産」だけ持っていては、逆にリスクがある!というお話です。

 

まずは、「安全資産」と「リスク資産」について書いてみます。

「安全資産」とは、どう定義するかにもよりますが、「リスク資産」では無い「無リスク資産」となります。例えば、「現金」、「元本保証の預貯金」などがすぐに思いつきますが、もちろん「安全資産」です。国に対してお金を貸す「国債」も「安全資産」でしょうし、それに加えて、県や市といった地方自治体に対してお金を貸す「地方債」や企業に対してお金を貸す「社債」といったものまで「安全資産」と言う人もいます。昨今の世の中はマイナス金利と言われていますので、「安全資産」での「リターン」は0%に近くなっています

それに対して、「リスク資産」とは、前回で「リスク」について書きましたが、「リターンの不確実性」がある資産と定義するのが良いでしょうか。「株式」、「不動産」は間違いなく「リスク資産」と言えるでしょう。また、企業の信用によって「リターンの不確実性」のある「社債」も定義によっては「リスク資産」ですし、為替の変動によって「リターンの不確実性」のある「外貨」、「外国の債券」も「リスク資産」と言えます。

上記のように、その資産が「安全資産」なのか「リスク資産」なのかというのは、完全に線引きは出来ないのですが、リターンとリスクはある程度相関があるのが普通ですので、リターンがある程度あるものは大概「リスク資産」となります。

「安全資産」と「リスク資産」について説明したところで、題名に書いた「安全資産」は安全か?「リスク資産」はリスクか?を考えてみます。

「安全」って良い響きの言葉ですよね。工事現場では「安全第一」が当たり前ですが、資産運用ではどうでしょうか?先の段落で「安全資産」での「リターン」は0%に近くなっていると書きました。0%では増えもしませんし、減りもしませんので、何も変わりませんので「タンス預金」と同じです。「安全資産」を「タンス預金資産」と名付けてしまいましょうか!?

その「タンス預金資産」こと「安全資産」がすべての資産で良いのだろうかという話です。もちろん、病気や突発的な支出への備えのために「安全資産」を持つことは大事ですが、教育資金や老後の生活のための資金といった中長期の資金、余裕資金も「安全資産」としていて良いのでしょうか?

 

ここで、物価が上がっていくという意味である「インフレーション」と、物価が下がっていくことを意味する「デフレーション」の状況下で、この「安全資産」を持っていることが「安全」なのか「危険」なのかを考えてみます。

「インフレーション」時で、物価が1年で2%上がっていくことを考えてみましょう。この2%という数字は、私たちの日本銀行が目標としている物価の上昇率です。10年間この2%のペースで物価が上がっていくと、1万円の商品は10年後1万2190円になります。一方、「安全資産」は10年経っても1万円ですので、今1万円で買える商品が10年後は値段が上がってしまっていて買えないというになります。

一方、「デフレーション」時では、物価が下がります。物価が1年で2%下がっていくことを考えてみますと、1万円の商品は10年後8171円になります。今1万円で買える商品が10年後は値段が下がっているので、2000円近くおつりがもらえる計算になります。

こう見てみると、「インフレーション」時は「安全資産」は将来同じものが買えなくなるという危険があるようで、「安全資産」と言うものの、「安全」では無いようです。一方、「デフレーション」時は「安全資産」を持ち続けていても良さそうですが、「リスク資産」を持って、いくらかの利回りで運用できれば、さらにおつりがもらえる計算になってきます。

分かりよいように単純な計算の話にしてしまいましたが、「リスク資産」を少し持ってみようか!という思いを持たれましたでしょうか?

 

次回は「リスク資産」を持つ前にもう1つだけ理解して欲しい「投資と投機の違い」という話がありますので、もう少し書いてみたいと思います!