やすべえです。「ビジョナリーカンパニーを読む」シリーズ、今回で一旦最終回となります。

前回までの3回で、『ビジョナリー カンパニー 時代を超える生存の原則』『ビジョナリー カンパニー② 飛躍の法則』『ビジョナリー カンパニー③ 衰退の五段階』を見てきました。

今回読み解く第4巻は、『ビジョナリー カンパニー④ 自分の意志で偉大になる』という題名です。第1巻から第4巻までで様々な分析がされていますが、巻が進むたびに経営者的な視点が強くなっていると感じます。この第4巻、経営者にはかなり響く著書なのではないかと思います。

(余談ですが、第4巻は紙質がペーパーバック本の紙質になっていて、他の3巻より分厚いのに軽いです。)

 

ビジョナリー カンパニー④ 自分の意志で偉大になる – まずは目次から

自分の意志で偉大になる「ビジョナリー カンパニー④ 自分の意志で偉大になる」の目次ですが、7章に分かれています。1章から、

「不確実性の時代に飛躍する」
「10X型リーダー」
「二十マイル行進」
「銃撃に続いて大砲発射」
「死線を避けるリーダーシップ」
「具体的で整然とした一貫レシピ」
「運の利益率」

となっています。

 

目次を読み解く!

比喩的で目次から内容が読み取りにくいと思いましたので、ざっくりとした説明をここで書いてみます。

まずは、「不確実性の時代に飛躍する」、「10X型リーダー」の章で、本著における分析方法を説明します。具体的には、経営基盤が脆弱な状況でスタートして、不安定な環境下で目覚ましい成長を遂げ、偉大な企業になったというようなストーリーを探し、そういったストーリーを持つ企業(「10X型企業」)と比較対象企業を分析するというものです。

「二十マイル行進」は、雨の日も風の日も晴れの日も1日20マイルを行進しましょうということですが、業績が好調の時に急成長を目指すのではなく、規律を持って安定成長しましょうというものです。
アムンゼンとスコットによる南極到達に関することも書かれていたり、成果が短期的に見えにくい教育改革においても「二十マイル行進」のような継続的な行動が良いということも書かれています。

「銃撃に続いて大砲発射」は、テスト的に小さなリスクを取って(銃撃)、成功の見込みが見えてから大きなリスクを取りましょう(大砲発射)という話です。

「死線を避けるリーダーシップ」は、いつ逆風が吹くか分からないことを認識して、致命的にならないようにコントロールすべきというものです。

「具体的で整然とした一貫レシピ(SMaCレシピ)」は、企業においてずっと続けることが可能で一貫性を持つ業務方法(業務改善方法)を持ちましょうという意味になります。

「運の利益率」は、面白い分析ですが、「10X型企業」と「比較対象企業」において、幸運と不運がどのように訪れているかを分析し、その割合に大きな差は無かったものの、運に対する接し方が違ったという話になります。

これを読むだけで、けっこう本著のエッセンスのかなりをゲットしてしまっているかもしれません。笑

 

読んで思ったことを赤裸々に・・・

・サウスウェスト航空という米国のLCCの躍進について、お手本となる企業(PSA)が存在していたというのは興味深い話でした。この類の話はたくさんあって、iPodに関してもポータブル音楽プレーヤーというのは既にありましたし、安全なカミソリを開発したのはジレットでは無かったり、インスタントカメラを開発したのはポラロイドでは無かったり、Amazonはオンライン書籍販売の先駆者では無いといったことが紹介されています。

・そのサウスウェスト航空の2代目社長であったハワード・パトナム氏の手腕がすごいと感じました。彼は、本著で言う「SMaCレシピ」を作り上げています。「二時間以内の近距離路線に徹する」ですとか、「主力機として737を使い続ける」ですとか、「機内食サービスは手掛けない」といったものなのですが、こういった言語化によって、企業の方向性が決まって、推進力を持つようになるのだろうと感じました。

・ハワード・パトナム氏の前職はユナイテッド航空でマーケティング担当副社長で、1978年3月にCEOに就任し、1981年9月に退任しているようです。3年半で企業を変えてしまったのでしょうか。彼はその後、ブラニフ航空の社長兼CEOとなっています。そのブラニフ航空は1982年5月に破産宣告を受けています。数奇な運命のようで、もう少し調べてみたいところですが、本論から離れますのでこの辺で・・・。(個人ウェブサイトがあります)

 

ビジョナリーカンパニー(10X型企業) vs 比較対象企業

本著では、10X型企業と対象企業の比較について、あまりフォーカスされていないのですが、「ビジョナリーカンパニー(10X型企業)」、「比較対象企業」を順に紹介していきます。企業名の後の括弧内は、ティッカーシンボルですが、参考までに入れています。

ビジョナリーカンパニー(10X型企業):アムジェン(AMGN)、バイオメット(投資ファンドにより買収)、インテル(INTC)、マイクロソフト(MSFT)、プログレッシブ保険(PGR)、サウスウェスト航空(LUV)、ストライカー(SYK)

続いて比較対象企業はこちらです。

比較対象企業:ジェネンテック(ロシュにより完全子会社化)、キルシュナー(身売り)、AMD(AMD)、アップル(AAPL)、セーフコ保険(?)、PSA(USエアによって買収)、USSC(身売り)

 

最後に

『ビジョナリーカンパニー』シリーズ、4回にわたって書いてきましたが、如何でしたでしょうか?

これからのビジネスを創っていく人に限らず、一社会人にとっても、大きな視点を持って物事をやり遂げることは非常に大事なことだと思います。その上で、本著、本シリーズは大きな武器になるのではないかと思います。ぜひ、読んでみてください!

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