企業価値創造と評価3やすべえです。京都大学の名物講義「企業価値創造と評価」について、今回は第3回目となりますが、2016年度について書いていきたいと思います。

このシリーズが売れてきたからかどうかは知りませんが、ダイヤモンド社の発売になって、横書きから縦書きへと変化しています。カラーのスライドが導入されていて綺麗です!

そして、川北先生、奥野先生のお話の充実度が増していて、経営者の方の講義録とともに、このシリーズの特徴の一つともいえる、「1冊で2度美味しい」度がさらにパワーアップしています

「企業価値創造と評価」とは?

「企業価値創造と評価」とは、京都大学の講座の名前であります。

この年度の書籍の「はじめに」の項に登壇者の構成が書かれていまして、『企業価値創造を担う者として企業経営者五~六人、企業価値評価を担う者としてファンドマネージャー三~四人、その間のインフラ構築を担う者として政府、コンサルタント三~四人、川北教授を含めたアカデミック二~三回というバランスを維持』とあります。

また、同項には、『毎回出席確認の意味もありアンケートを実施しています。しかし昨年あたりから、集計するアンケート数よりも明らかに出席者の方が多くなっています』と言及があり、この講座が人気であるという事が書かれています。「日本のトップ経営者の生の声が1時間半近くしっかりと聴ける」ことに加え、「トップ経営者への質問が出来る」得難い環境が人気の要因でしょう。そんな得難い環境があるのに、授業の中だけで完結してしまうのは勿体ないということで、書籍化がされています。記事の下にリンクを張っていますので、ご興味ありましたら、ぜひお手に取ってみてください!

そして、京都大学のウェブサイトに履修者向けのものですが、講座の紹介が載っていますので、そちらもよろしかったらご覧くださいませ。

 

「企業価値創造と評価」2016年度を振り返る

「企業価値創造と評価」の2016年度は、積水ハウス、ホシザキ、大和ハウス工業、シスメックス、カルビーの経営者が講演した年でした。

2016年度のラインナップは、和田勇さん(積水ハウス株式会社 代表取締役会長兼CEO)、坂本精志さん(ホシザキ株式会社 代表取締役会長兼社長)、樋口武男さん(大和ハウス工業株式会社 代表取締役会長/CEO)、家次恒さん(シスメックス株式会社 代表取締役会長兼社長)、松本晃さん(カルビー株式会社 代表取締役会長兼CEO)といった顔ぶれです。

前年度には、株価が短期間に相当上昇したグロース株の代表と言っても良い「MonotaRO」という企業の創業者の瀬戸欣哉さんが登壇されていましたが、グロース株として「MonotaRO」と共に語られることの多い「シスメックス」の社長を長年おやりになっている家次さんのお話があったり、「カルビー」をガラッと変革させた松本さんのお話など、業績を上げた秘訣を知ることが出来そうなラインナップです。お二方は京都大学のご出身です!

 

今回は、経営者の講演ではなく、農林中金バリューインベストメンツの奥野一成先生の章を少し見てみたいと思います。お題目は、「長期投資の本質・・・人間にしかできないこと」となっています。

現代ポートフォリオ理論を一度学んだり、世のアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないといった話を聞いたりすると、「個別株に投資するのはナンセンス」、「アクティブファンドに投資するのはナンセンス」と思ったりします。私は、こういった考え方は誰しもが一度は通る道なのかなと思います。この考え方に到達することなく投資や資産運用をしていく人も沢山いますし、この考え方に到達して安住するように投資や資産運用をしていく人も沢山いますし、この考え方を通り越して、あえてリスクを取りに行く人もいるのではないかなと思います。

私は色々な投資スタイルがあって良いと思っているので、行動経済学的に「人間は合理的な行動をするわけじゃない」で片づけてしまっては勿体ないと考えます。「想い」ですとか「共感」ですとか「目に見えるもの」ですとか、そういったものは合理的非合理的関係なく、大事なものなのだと思います。

さて、今回の奥野先生のお話は、『良好な経済性を有する事業を選択する』と表現し、『「儲ける仕組み」を有している企業』を定性的な特徴と定量的な特徴から選択しているとあります。さらに、『金利・為替などのマーケット情報や、株価の割高割安に基づく株券の売買ではありません』と断言しています。

インデックスファンド愛好家の皆様、ぜひ一度、この章を読んでみてはいかがでしょうか?世界が拡がると思います!

 

もう一つ、最近、販売子会社の不適切取引があったことでニュースになっています「ホシザキ」について触れておこうと思います。読み進めていくと分かるのですが、坂本さんのご発言は、信念がしっかりしていらっしゃるのですが、成功体験に固執する傾向もあるように思いました。

売り上げに関しては、『営業活動が忙しくなると、中途採用をどんどん行ない、売れる人は残る、売れない人は辞めていくという、まるで勝ち抜き戦のような人事政策をとっていました』とあり、求人難で応募が集まらないので、売れない人を売れる人に変化させるために『全国から一番よく売れる営業マンを三人選び』、『その三人の営業パターンを徹底的に調査し』、『システムとしての営業を教育しながら育てることを始めた』と書いてあります。これが、不適切取引と何らかの因果関係があるのかはわかりませんが、売り上げるためにエッジの利いた施策をとっていたようには思えます。

 

最後になりますが、今年度の書籍には、章末に「解説」と題したミニコラムがあります。「社会価値と企業価値」、「顧客との接点」、「抽象化する能力」、「ビジネスモデルの選択」、「経営者の主体性」といった題目で書かれているのですが、見開き2ページで要点がスパッとまとめられていて、勉強になります。

 

というわけで、「企業価値創造と評価」シリーズ第3回目でした!次回もお楽しみに!

 

 

京都大学の経営学講義 いま日本を代表する経営者が考えていること [ 川北 英隆 ]

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