やすべえです。京都大学の名物講義「企業価値創造と評価」について、今回は第6回目となりますが、2019年度の内容について書いてみたいと思います。

 

「企業価値創造と評価」とは?

「企業価値創造と評価」とは、京都大学の授業の名前です。この授業は、企業価値創造を担う、企業経営者、ファンドマネージャー、アカデミックの方、いろいろな方が回ごとに講演してくださるというものとなります。

どの講演も価値の高いものですが、特に企業経営者の講演は、①その企業についてよくわかる、②その経営者についてよくわかる、③企業価値創造とはどういうことなのかがわかる、などなど「一石何鳥!?」というくらい価値のあるものです。授業に出席できない人にも伝えたいという思いから、講演の書き下ろしが毎年書籍化されています。

 

「企業価値創造と評価」2019年度を振り返る

今回の内容についてですが、やすべえは大学院に在籍していてこの講義を履修していましたので、講義が行われた「法経7番教室」で生で聞いておりました!

「企業価値創造と評価」の2019年度は、スリーエムジャパン、コルク、三菱UFJフィナンシャル・グループ、東京エレクトロン、日本植物燃料、浜松ホトニクスの経営者が講演しました。

一言で言ってしまいますと、すごい講演ぞろいでした。

書籍の副題が「社会の問題解決こそ、企業価値創造の源である」となっていますが、まさにそうだなぁと思える内容です。
これから、企業経営者の講演について2、3行のサマリーを書いていきます。ご興味湧きましたら、書店でお手に取っていただけたらと思います!

 

スリーエムジャパンは、ポストイットなどでお馴染みの会社ですが、代表取締役 副社長執行役員 昆政彦さん。

イノベーションを起こす仕組みを徹底的に解明して、全社的にイノベーションを起こすための環境づくりを余すことなく教えてくれました。
その中で、テクノロジープラットフォームというスリーエムの持つ技術を蓄積していくビジネスモデルのエンジン的なものについてお話がありました。
こういった企業としての総合力を発揮するための重要なコンセプトを作りこんでいくことで、本当の差別化が図られていることがわかりました。

 

コルクは、クリエーターのためのエージェント会社なのですが、代表取締役 佐渡島庸平さん。

佐渡島さんは熱く語ります。本という出版物の価格がコンテンツではなく、ページ数で決まるといった慣行に疑問を持ち、それを変えたいと。
コルクという社名は、上質なワインに栓をする上質なコルクのイメージで、良いコンテンツがページ数で価格が決まらないように、上質なコルクで良いコンテンツに栓をして、いつ誰が何処で作ったかでコンテンツの価格が決まっていくようにしたい!という想いが込められています。
この他にも、「幸せになるために、自分に合う分人を引き出してもらう」という話も凄く良い話で感動しました。

 

三菱UFJフィナンシャル・グループは、説明するまでもなく、日本最大の金融コングロマリットですが、取締役 執行役会長 平野信行さん。

平野さんは京都大学法学部をご卒業されて、MUFGという大会社の社長になられたという、もうそれだけで興味津々になる方なのですが、
これからのデジタル時代の金融サービスについて、広範囲にわたる深い分析を披露されます。
大学の授業というよりは、一般向けの講演という感じではありましたが、マネー経済のデジタル化が進んでいく中で定期的に確認したいような内容でした。

 

東京エレクトロンは、グローバルに競争力の高い製品を数多く持つ半導体製造装置メーカーですが、取締役 相談役 東哲郎さん。

小さな企業がグローバル展開を進めて、世界企業になっていくというストーリーなのですが、飛躍に対して特殊な要因というのは無いのが興味深いです。
社内を風通しの良い環境にするとか、若い人に権限をどんどん委譲していくとか、正当な評価を与えるとか、そういった良くある話をされるのですが、それぞれに対して本気に取り組むことによって、経営陣と従業員の関係性がしっかりとしたものとなっているのだろうと感じます。
2016年度にシスメックスの家次恒社長のお話があったのですが、そのストーリーにも通じるものがありそうで、インサイトを知りたくなりました。

 

日本植物燃料は、アフリカを舞台にバイオ燃料を展開し多角化しているユニークな会社ですが、代表取締役 合田真さん。

アフリカで活躍する日本企業というだけで興味深いのですが、なぜこの企業がアフリカを舞台として活躍をはじめたのか、というストーリーに引き込まれました。
人生は筋書きのないドラマとよく言いますが、企業も筋書きのないドラマの中で成長していくようで、この会社はバイオ燃料を展開しながら、今は金融ビジネスで利益を上げているといったお話がありました。
お話の中で、ビジネスが展開していくパターンを2つ披露されます。自分の熱望することをひたすらに追い求めて遂に花開くパターンと、周りの人々のニーズやウォンツがスタスタスタっとやってきてサービス展開を進めて花開くパターンです。人という字の一画目と二画目みたいなものかなぁと、対照的な2つのパターンについて考えました。

 

浜松ホトニクスは、光子Photonの技術を用いた製品を供給する、カミオカンデでも有名な会社ですが、代表取締役社長 晝馬明さん。

光子Photonという世界において、産官学連携をしているお話が非常に興味深かったです。産業をデザインするという指揮者的な役割なんて、社会貢献の最終形といった感じがしませんか!?60歳を超えたおじさまの絶えることの無い開拓者精神のようなものを目の当たりにして、非常に神々しい気持ちさえ思いながら聞いておりました。
質疑応答で質問するチャンスがあり、「お話を伺う中で、浜松ホトニクスは道なき道を開拓するようなビジネスを進めてきたと感じたのですが、道なき道を開拓するための考え方をもう少し教えてください!」と質問しました。
「部門には〇〇部というのは付けずに、十四部門、二三部門というように数字だけ付けて、自由にやっていいことにしているんです」と答えて頂きました。いやー、深い、深い、深い!深い一言を頂いて、教えて頂いた事を出来るだけ咀嚼しようと授業が終わってから思索にふけっていたことを思い出します。

 

 

最後に

毎回の奥野一成先生のお話も非常に興味深いものです。奥野さんは農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)の常務取締役(CIO)を務めていらっしゃいます。

今回も、NVICの投資の神髄を知ることが出来ます。『「オーナー」としての株式投資』と題して、広義の投資のお話から、どこに価値を見いだすのかというところまで、有用な知識が満載で、一度読めばすっと頭に刻み込まれていきます。33ページ書かれていますが、本当に価値のある文章だなぁと思います。コルクの佐渡島さんは、この文章においくらの価値を付けるでしょうか・・・。

 

というわけで、「企業価値創造と評価」シリーズ第6回目でした!

 

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