企業価値創造と評価4やすべえです。京都大学の名物講義「企業価値創造と評価」について、今回は第4回目となりますが、2017年度について書いていきたいと思います。2018年度版はおそらく年明けに発行されると思いますが、現時点では2017年度版が最新刊です。講演でも、理論的な分野でも、普遍的な要素が語られることが多いので、最新であろうがなかろうが関係はあまり無いのでしょうが、ここまで発刊されてきた3巻の良い所を存分に取り入れた構成になっていると思います。

 

「企業価値創造と評価」とは?

「企業価値創造と評価」とは、京都大学の講座の名前であります。

この年度の書籍の「はじめに」の項に登壇者の構成が書かれています。全14回の講義となるのですが、『企業価値創造を担う者として企業経営者五~六人、企業価値評価を担う者としてファンドマネージャー三~四人、その間のインベストメントチェーン構築を担う者として政府、コンサルタント三~四人、川北教授を含めたアカデミック二~三回というバランスを維持』とあります。バランスよく学べるように考えられています。

「大学院の話 第7回」でも書きましたが、外部から講演者を大学にお招きしていて、そういった方々の講演を聞く機会が沢山あるというのは、かなり貴重であるように思います。この「企業価値創造と評価」以外にも、いくつかの授業で外部からの講演者の講演を聞くことが出来ます。テーマは「ビジネス・エシックス」だったり、「まちづくり・まち経営」だったり、いろいろですが、基本的に1度しかない機会ですので、話す方は全力投球で、聞く方は、内職している方もちらほら見かけますが、おおよそ半数くらいは全力投球で聞いている気がします。貴重さに気付いているのでしょう。

ちなみに、京都大学のウェブサイトに履修者向けのものですが、この「企業価値創造と評価」の講座紹介が載っていますので、そちらもよろしかったらご覧くださいませ。

 

「企業価値創造と評価」2017年度を振り返る

「企業価値創造と評価」の2017年度は、サントリーホールディングス、ピジョン、セブン銀行、ライフネット生命保険、不二製油グループ本社の経営者が講演した年でした。

2017年度のラインナップは、鳥井信吾さん(サントリーホールディングス株式会社 代表取締役副会長)、山下茂さん(ピジョン株式会社 代表取締役社長)、安斎隆さん(株式会社セブン銀行 代表取締役会長)、出口治明さん(ライフネット生命保険株式会社 創業者)、清水洋史さん(不二製油グループ本社株式会社 代表取締役社長)といった顔ぶれです。

4年分を読んで色々と勉強になりましたが、本年度は、リベラルアーツ色が強い気がします。経営者に必要なものとして、決断力を含めた情熱や、経営指標をしっかりと読むことのできる数字の把握力がありますが、経営理念や経営の大局観に影響しそうな教養分野というものも非常に大事なものとしてあると思います。そういったエッセンスを5人の経営者のお話から感じることが出来た気がします。

 

サントリーの鳥井さんは、ワイン・ウイスキー・ビールについてのお話と創業者である鳥居信治郎さんのお話をされています。それぞれのお話において、観察眼といいますか、見識の高さを感じます。「高貴」と言えばよいのでしょうか。

そして、鳥井さん自体はウイスキーのマスターブレンダーという味に関する重要な役割を担う一方で、経営も担っているという立場ですが、質疑応答内で「両立は可能なのか?」という質問に対して、「可能どころか、そこを分離していることが世の中の問題である」と答えていて、マスターブレンダー、経営に限らず、消費者のトレンドだったり、様々なことを知っておかなければならないと主張しています。

この質疑応答は、章末のコラムでも取り上げられており、マギル大学のヘンリー・ミンツバーグ教授によるマネジメントトライアングルというものが紹介されています。「アート」と「サイエンス」に加えて、「クラフト(職人技)」という三要素が経営者に求められる資質であるという話です。

何はともあれ、この質問をされた方は、講座にも本著にも大きく貢献したことになりますでしょうか。池上彰さん的に言うと、「良い質問ですねぇ」的な質問であったのではないかと思います。(笑)

 

セブン銀行の安斎さんとライフネット生命の出口さんは、それぞれ、日本銀行、日本生命に長いこといらっしゃった方で、要職を務めあげたのちに両企業を創ってきた方です。リベラルアーツ的な貴重なお話があります。話のテーマは色々と飛んでいるのですが、すべて読んでいくと何か繋がっているような、そういった感覚になります。

安斎さんの話のテーマは、「欠点を直す時間があるのなら、むしろ長所を伸ばせ」、「人を選んで商売をしてはいけない」、「理念と経営活動は織り糸の縦横の関係」、「非常事態を直視できない企業はつぶれる」、と続いていく感じで、出口さんの話のテーマは、「人間は見たいものしか見ない動物」、「二つの方法論で世界を見る」、「「人・本・旅」が発想の源」、「クオータ制の導入が必要」、「少子高齢化対策は難しくない」といった流れです。私の表現力の不足で上手くお伝え出来なくて残念ですが、読んでいただけたらと思います。

 

 

というわけで、「企業価値と評価」シリーズ第4回目でした!2018年度版は来年早々に発売になると思います。楽しみですね!

 

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