企業価値創造と評価2やすべえです。京都大学の名物講義「企業価値創造と評価」について、今回は第2回目となりますが、2015年度について書いていきたいと思います。

前回の投稿では、京都の企業の経営者5人が語った2014年度について書きましたが、「良かったよ!」とのお声を頂きました。よろしかったら、そちらもご覧くださいませ!(たぶん、私の書いた内容というよりは、本の内容が良かったという話なんだと思いますが・・・汗)

「企業価値創造と評価」とは?

「企業価値創造と評価」とは、京都大学の講座の名前であります。

「人気の講座で履修者よりも参加者が多い」などと言われているのですが、その理由は「日本のトップ経営者の生の声が聴ける」ことにあると思います。同じ企業に勤めていても話を聞くことが難しい経営者の話が1時間半近く聞くことが出来て、質問も可能という環境はなかなか得難いのではないでしょうか。そんな得難い環境があるのに、授業の中だけで完結してしまうのは勿体ないということで、書籍化がされています。記事の下にリンクを張っていますので、ご興味ありましたら、ぜひお手に取ってみてください!

また、京都大学のウェブサイトに履修者向けのものですが、講座の紹介が載っていますので、そちらもよろしかったらご覧くださいませ。

 

「企業価値創造と評価」2015年度を振り返る

「企業価値創造と評価」の2015年度は、クボタ、リンナイ、京都銀行、小林製薬、MonotaRO、京セラの経営者が講演した年でした。

2015年度も凄いラインナップでして、木股昌俊さん(株式会社クボタ 代表取締役社長)、内藤弘康さん(リンナイ株式会社 代表取締役社長)、柏原康夫さん(株式会社京都銀行 代表取締役会長)、小林一雅さん(小林製薬株式会社 代表取締役会長)、瀬戸欣哉さん(株式会社MonotaRO 取締役会長)、久芳徹夫さん(京セラ株式会社 代表取締役会長)といった顔ぶれです。

今回も創業者系の方がいらっしゃいまして、リンナイという会社は、林さん(リン)、内藤さん(ナイ)が創業された会社で内藤弘康さんから見ておじいさまになります。小林一雅さんは、本書での言及はありませんが、創業者系ですし、MonotaROは2000年に創業された比較的新しい会社でして、瀬戸欣哉さんは創業者となります。

 

一番読み進めやすかったのは、MonotaRO、瀬戸欣哉さんのお話でした。トレーダーの私はもちろん知っていますが、MonotaROは日本のグロース株の代表ともいえる企業でして、売上高や利益の伸びは凄まじいものがあります。本書ではその一端を垣間見れるわけですが、それだけでも本書の価値があると思います。「ビジネスモデル」の秀逸さが事業成長のドライバーになっていることが理解できます

現在、瀬戸さんは、LIXILグループの代表取締役社長をしていらっしゃいます。MonotaROの成功事例は、製品のクオリティといったものよりは、ユニークなビジネスコンセプトに依存していると思いますので、おそらく他の会社の経営者としても応用できるところがあるのかなと思います。

 

京都銀行の章も興味深かったです。「WHAT IS 京都銀行?」と言えばよいでしょうか、京都銀行の歴史であったり、特徴を語っているのですが、京都に住む人間として、知っておきたいことがたくさん載っています。京都銀行は、もともと丹後、福知山が地盤の銀行だったですとか、京都はもともと都市銀行が非常に強くて、今でさえ京都銀行は京都の中でもダントツという感じですが、昔は中小企業金融などで苦労したという話が出てきます。

そんな経緯で、新興の製造業に投資して、今では大きな含み益を築いて、地方銀行の中で含み益が沢山ある銀行になったという話です。四季報を見ると、京都銀行がかなりの京都生まれの製造業の企業で大株主になっていることが分かります。

 

そして、2014年度の講義も勉強になりましたが、農林中金バリューインベストメンツ、奥野一成さんの「長期投資の本質」という章も良かったです。『「株価は短期的には美人投票だが、長期的には計量器である」とのベンジャミン・グラハムの言葉どおり、長期的には株価は企業価値を反映する』という文言から、企業価値ってどういうものなのですか?キャッシュフローの創出能力ですよね?という話に移り、キャッシュフローの源泉についての分析が行われていきます。

 

「企業価値創造と評価」シリーズ第2回目でした!次回もお楽しみに!

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